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横瀬町で協力隊が「けもの相談所」 データ蓄積で鳥獣被害防ぐ

(左から)高田さん、曽雌さん、立川さん

(左から)高田さん、曽雌さん、立川さん

 横瀬町における有害鳥獣対策の専門組織「けもの相談所」の本格運用が8月1日、地域おこし協力隊員3人を中心に始まった。同町では鳥獣被害の相談に対し、同組織への直通電話やウェブフォームを新たに設け、住民からの直接の相談に応じる体制を整えた。

「けもの相談所」チラシは回覧板や掲示板などに掲出予定

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 同町振興課で有害鳥獣対策担当の小菅旭央さんは、従来の被害発生後の単発的な駆除対応や、行政職員が平均2、3年で異動することによる知識や信頼関係の途切れに課題を感じていた。小菅さんは「担当者が変わっても町にデータと知識が残り続け、捕獲だけでなく寄せ付けない防護を中心に指導できる専門組織が必要だった」と、同相談所発足の経緯を明かす。

 同相談所の実動を担うのは、同町に移住した地域おこし協力隊の3人。2023年10月に着任した島根県出身の高田映さんは、都内でジビエを扱う飲食店で働く中で鳥獣の捕獲に関心を持ったという。先行して現場対応を進めてきたことから立ち上げのアドバイザー役を務める。

 4月に着任した山梨県出身の曽雌隼人さんは、以前、別の地域の市職員として働く中で、住民の相談情報がデータとして引き継がれにくい行政の構造に課題を感じていた。民間企業を経て、農山村の社会課題解決に直接携わろうと同町の協力隊に応募した。5月に着任した広島県出身の立川雄介さんは、大学の農学部時代に有害鳥獣対策の現場を調査し、課題の大きさを実感していた。一度は東京で就職したものの、やりたいことを見つめ直し、学びの原点である山の現場で課題解決に関わろうと同町へやって来た。

 7月29日には曽雌さんと立川さんが罠(わな)の狩猟免許試験に合格。現在は狩猟者登録などの手続きを進めながら、講習への参加や地元猟師・役場の調査同行、解体補助などを通じて現場の実務ノウハウを蓄えている。

 現場では約20台のセンサーカメラを設置し、地域や時期ごとに異なるシカやサル、イノシシなどの行動パターンの分析を始めた。隊員は現場巡回や地域でのあいさつ回りなども行いながら、役場に報告されていない獣の目撃情報や小さな被害の声も直接聞き取っている。現在は住民からの相談に応じながら、公式サイトでの対策事例集約や住民向けセミナーの開催に向け、体制構築を進めている。

 曽雌さんは「捕獲や駆除だけでは根本的な解決にならない。まずは現場で起きている事実を拾い上げ、数字やデータとして可視化することで対策につなげたい」、立川さんは「『こんなことで連絡したら申し訳ない』と遠慮してしまう人も多い。『〇〇辺りでサルを見かけた』などの小さな情報でも気軽に話してもらえるよう、地道に対話を重ねて関係を作っていきたい」と話す。高田さんは「対策のコストを考えて諦め、泣き寝入りしている住民も多い。一般的な考えを押し付けるのではなく、日常に寄り添って気軽に相談できる受け皿として組織を残していければ」と展望を明かす。

 同組織は今後、横瀬町内で相談対応や防護支援を重ね、専門窓口としての定着を図る。活動を通じて蓄積したデータやノウハウを生かし、将来的には秩父地域全体への展開や組織の自立を目指していく。

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