秩父市が「ウッドスタート宣言」をして木育事業に着手してから10年余りが経過し、秩父宮記念市民会館けやきフォーラム(秩父市熊木町)で9月5日、「秩父市木育円卓会議」を開く。これまでの歩みを振り返り、今後の展望を考える目的で企画した。
市は2014(平成26)年に木育の機運を高めるイベントを開き、翌2015(平成27)年に県内で初めてウッドスタート宣言を行った。同年から誕生祝い品事業を始め、デザインコンテストを経て選定した織物工場の建物がモチーフの積み木「TUMICCO(ツミッコ)」などを、10カ月健診時に手渡してきた。
2022年度からは「木育おもちゃセット」の無料貸し出しを始め、イベントなどを通して利用参加人数は累計で1万4000人に上る。木育の普及を担うボランティアやリーダーの育成研修も毎年行い、修了者は計124人を数える。今年も11月ごろに研修を予定しており、市民や事業者の参加を呼びかける。
円卓会議当日10時に始まる午前の部は、認定NPO法人「芸術と遊び創造協会」の馬場清副理事長が「全国に広がる東京おもちゃ美術館の木育」と題して基調講演を行う。続いて市職員が行政の取り組みを報告するほか、木育リーダーの染谷陽介さんと君ひとみさん、シュガーハウス「MAPLE BASE(メープルベース)」代表の井原愛子さんが実践事例を発表する。
午前の部のメインに清野和彦市長や林業者、木工作家、教育関係者、川崎市で活動する木育リーダー、荒川下流域に当たる東京都江東区木場の木材事業者ら10人が登壇し、意見交換を行う。市が推進する「荒川流域圏構想」を踏まえ、荒川の源流から下流域へ向かう地域のつながりと、森の木が製品になって届くまでの産業のつながりを、2つの「川上から川下」として重ね合わせ、今後の広域連携の可能性も模索する。
13時30分からは、一般向けの「木育ひろば」と「もりのカルタ大会」を行う。会場には、秩父夜祭の屋台の揺れを動きで表現した誕生祝い品「ちちぶの幸(さち)」や「豚みそ」や「しゃくし菜」が入った「ままごとセット」など、地元の文化や食をモチーフにした市内の木工作家らによる多彩なおもちゃを展示し、手に取って遊ぶことができるようにする。かるたは薄く加工した木材に直接触れながら、森や木のこと、自然の仕組みを遊びを通して学べる。
産業観光部産業支援課の柴田祥吾さんは「改めて、10年が過ぎたこの機会に、さまざまな人に木育を知ってほしい」、前島香保さんは「埼玉や秩父のおもちゃは土地の文化や食を表現しているものが多く、木を通じて地域を知ることができる。地元に木のおもちゃを作っている作家がいるんだ、と作品を見に来るだけでも面白い」と、来場を呼びかける。農林部森づくり課の山下爽さんは「森林を整備することは、川上から川下まで流域全体のみんなの恩恵につながっている。木育を通じてそのつながりを感じてもらい、交流を深めたい」と話す。
参加はいずれも無料で、円卓会議は事前申込制。申し込みはウェブと電話で受け付ける。席に空きがある場合は当日参加も可能。午前の部・午後の部、それぞれ来場者に秩父地域産材の鉛筆や、市のイメージキャラクター「ポテくまくん」と「ぷめるちゃん」を刻印したピンバッジを進呈する。