陶芸家・前田穏子さんの個展「月影陶窯 前田穏子展」が10月31日、百果店ひぐらしストア(秩父市番場町)で始まる。同会場での個展は5年ぶり。今回は「鼠志野(ねずみしの)」の技法で仕上げたカップを中心に、季節を感じられる新作を展示する。
前田さんは1971(昭和46)年、秩父市生まれ。武蔵野美術大学で陶芸を専攻し、1997(平成9)年に「月影陶窯」を築窯。以来、作陶を続けている。窯の名前は秩父札所27番・大渕寺の月影堂に由来する。
鼠志野は、鉄分を含む化粧土を器の表面に塗り、模様となる部分をかき落とした後、長石釉(ゆう)をかけて還元焼成する技法。焼成すると、鉄分が残った部分は灰色に、かき落とした部分は白く浮かび上がり、特有の表情が生まれる。秩父の素材を少しでも取り入れたいとの思いから、作品には中津地域の沢で採取した鉄分を多く含む土や地元産の石灰も使っている。
前田さんは「均一にならない面白さが陶芸の魅力。うわぐすりのかけ具合や窯の中での置き位置によっても仕上がりが変わる。大量生産では欠点になりかねない部分も味になる。温かみがあるもの、有機的なもの、手にしたときにほっとするものを作りたい。きれいになりすぎないことも意識している」と話す。
「今回はカップをメインに、季節を感じられるような作品を展示する。秩父の皆さんに、手頃な価格でぜひ手に取っていただければ」と来場を呼びかける。
開催時間は13時~18時。会期中は毎日、前田さんが在廊する。11月2日まで。