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上長瀞で水難よけの行事「千垢離」 川の安全を祈願

荒川上流の各地に伝わる水難よけ行事「千垢離(せんごり)」の上長瀞での様子

荒川上流の各地に伝わる水難よけ行事「千垢離(せんごり)」の上長瀞での様子

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 秩父地域を南北に流れる荒川での水難よけを祈願する行事「千垢離(せんごり)」が7月25日、行われた。

「千垢離(せんごり)」の行事として、10人が一列に並んで水かきをしている様子

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 上長瀞地区は国の天然記念物の岩畳からほど近く、秩父鉄道の鉄橋から少し下流の河原で毎年行われている。水の神様として地域に祭られている「大山阿夫利(おおやまあふり)神社」に由来し、古くから受け継がれている。

 11時から1時間ほど行われた行事は、上長瀞地区の氏子およそ15人が、地区にある大山阿夫利神社に集合し、神職が祈とうする中、深々と頭を下げ、今年の川の安全を祈願した。

 氏子と神職は200メートルほど離れた荒川の河原まで移動し、河原に横たわる横およそ15メートル、高さ4メートルほどある大きな岩の上に「梵天(ぼんてん)」といわれる竹ざおを立て、そこへ神社で清められた竹筒に入れられた酒を置き、再び神職が祈とうする中、深々と頭を下げた。その後、氏子たちは竹筒の酒で手と口を清め、川の中で10人が膝まで漬かり、一列に並び、神職が祈とうした後、合図で一斉にかがみこむと両手で川の水をすくい、遠くにまくように水を投げた。それを一度に10回行い、少しの間隔を置いて再び10回、合わせて100回の水かきを10人が行うことが「千垢離」の由縁とされており、水難よけや無病息災を祈願する行事として行われてきた。

 この行事の地域の保存会の堀口秩(さとし)さんは「昔は今より水難事故が多かったこともあり、この行事も300年くらい前から行われてきているという人もいる。水の安全を願うこの行事を絶やさず続けていきたい」と話す。

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