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秩父農工高生、札所の剪定葉でお香 横瀬・大慈寺と秩父・常楽寺で販売

札所の香りを手にする生徒と大慈寺の斉藤雄大副住職

札所の香りを手にする生徒と大慈寺の斉藤雄大副住職

 埼玉県立秩父農工科学高校(秩父市大野原)森林科学科の3年生が、札所10番「大慈寺」(横瀬町横瀬)と11番「常楽寺」(秩父市熊木町)の剪定(せんてい)葉を使ったお香「札所の香り」シリーズを開発し、11月3日に両札所で販売を始める。初日は13時〜15時、生徒が両札所に分かれて手売りする。

「恋愛成就 恋文の香り」とタラヨウの葉

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 きっかけは、同科が文化祭「秩農工祭」に向けて進めるお香「中庭の香り」。授業で中庭を測量して図面を描くだけでは面白くないと、そこにある樹木の葉を粉にしてお香にすることを試みた。その中で、「お香なら寺と相性が良いのではないか」「札所とコラボしてはどうか」という声が上がり、秩父市高校魅力化コーディネーターの神宮一樹さんが秩父札所連合会に相談した。秩父札所では11月末まで午歳総開帳が行われ、多くの参拝客でにぎわっている。同科は地元の文化資源を生徒の手で発信することも目的に掲げる。

 協力先となった大慈寺では、剪定した葉を普段は産業廃棄物として処分している。副住職の斉藤雄大さんは当初、境内の杉やヒノキを提供するつもりだったが、「よくある木では面白くない」と考え直した。7月には斉藤さんが同校の授業に招かれ、境内にある特徴的な木を生徒に紹介。その中から生徒が選んだのがタラヨウだった。タラヨウは葉をペン先などで引っかくと黒く跡が残って文字が書けることから「葉書(はがき)」の語源ともいわれ、紙が普及する前の中国では葉に経文を書いて文字を練習したとされる。秩父札所の中でも珍しい木だという。

 お香は、栗原正博教諭と石井克彦教諭の指導の下、グリーンデザインと総合実習の授業で制作した。8月に採取した葉を乾燥させ、葉脈の中心を切り取って細かく刻んでからミルで粉にし、残った繊維を取り除いた。この粉をタブ粉と合わせて練り、一つ一つ手作業で円すい形に成形。香料は加えず、さらに2週間以上かけて乾燥させて仕上げた。

 商品には、それぞれの札所にまつわる話を取り入れた。大慈寺は本堂に施された夫婦龍の彫刻にちなみ、「恋愛成就」「夫婦円満」を願う寺として発信している。10番の「恋愛成就 恋文の香り」は、このご利益に大切な人への思いを伝えたタラヨウの葉を重ね、その願いを込めた。名前から甘い香りを想像しがちだが、渋みのある香りに仕上げた。11番の「昇龍梅の香り」は、幹が空洞になりながらも枯れずに葉を付ける常楽寺境内の老梅の葉を使い、らせんを描く姿を龍になぞらえた。

 生徒が札所について調べてまとめた冊子を商品に添える。生徒や教諭からは「タラヨウはなかなかのくせ者で、粉にする作業がとても大変だった」「本やホームページによって情報が違っていて、冊子の文章を短くまとめるのに苦労した」などの声が聞かれた。

 斉藤さんは「大慈寺の象徴になりつつあるタラヨウを、生徒たちが試行錯誤して商品化してくれたことがうれしい。新たな価値や魅力を作ってくれた。こうしたものが札所にあることを参拝の方や地元の人にも知ってもらえたら」と話す。

 価格は1袋3個入り300円。各札所50個を用意し、初日以降も両札所で扱う。納経時間は8時〜16時。「中庭の香り」は11月14日・15日に一般公開する同校の「秩農工祭」で、当たり(幸運香)入りのカプセルトイ形式で販売する。