特集

秩父高校・松本校長と澁澤教頭が描く
「夢を語り、秩父から世界とつながる学校」

秩父高校 特集第1弾:新校のビジョン

2026年4月、皆野高校との統合により「新校」としてスタートを切った秩父高校。普通科の教育課程の刷新、新学科「国際教養科」の設置、校舎の大規模改修、新しい校章・校歌・制服と、学校の姿がさまざまに更新されています。
特集第1弾は松本校長と澁澤教頭のお二人へ、新校への想いと育てたい生徒像をめぐるインタビューです。

松本校長と澁澤教頭の対談
松本英和校長

松本英和 校長
(まつもと・ひでかず)

埼玉県本庄市出身。1988(昭和63)年に埼玉県の教員となり、地学・情報を専門に県内各地で教壇に立つ。熊谷市立富士見中学校、妻沼高校、深谷高校で教頭を務め、国立科学博物館への1年間の長期派遣を経て、埼玉県立吹上秋桜高校の副校長に。2018(平成30)年から3年間にわたり、皆野高校の校長として秩父地域との連携に深く携わる。本庄高校、深谷高校の校長を経て、2026年4月から秩父高校の校長に着任。校長としては通算9年目。

澁澤隆美 教頭
(しぶさわ・たかよし)

埼玉県秩父市出身、秩父高校の卒業生。大学卒業後は約5年にわたり民間企業に勤務した後、2011(平成23)年に教員の道へ。理科を専門に飯能高校を経て秩父高校に着任し、9年にわたり教壇に立つ。在職中にはJICAの海外協力隊として南アフリカに派遣され、現地の理科教育支援にも携わった。その後、埼玉県立総合教育センター勤務中に、再び南アフリカ理科教育支援フォローアップ調査団として現地を訪問。2025年4月に教頭として秩父高校へ戻った。

澁澤隆美教頭

これまでの経歴と、秩父高校とのご縁

 ー これまでの経歴を教えてください。

松本校長 本庄の生まれ育ちで、大学だけ東京に出て、また埼玉に戻ってきました。バブルの頃に教員になり、もうすぐ40年です。

澁澤教頭 生まれも育ちも秩父で、秩父高校の卒業生です。民間企業から教員に転じ、飯能高校を経て母校に着任し、9年勤めました。

 ー 松本校長は皆野高校の校長もご経験されているんですね。

松本校長 2018(平成30)年から3年間、皆野高校の校長を務め、秩父とのご縁ができました。2019年には秩父地域1市4町と4校(秩父高校、秩父農工科学高校、皆野高校、小鹿野高校)の包括連携協定を結ぶなど、秩父地域とのつながりが深まりました。

松本校長 皆野高校時代
松本校長 皆野高校時代

 ー 澁澤教頭はJICAで南アフリカにも行かれたそうで。

澁澤教頭 現地には2回行っています。1度目の2018(平成30)年には、中高生向けに振って色が変わる実験など、体験型のサイエンスワークショップを約1カ月にわたり行いました。現地には設備が少ないので、私たちが体験を持ち込むという位置づけでした。2022年の2度目はフォローアップ調査として訪問し、当時ご一緒したサイエンスセンターの方から「この取り組みを今後もぜひ続けてほしい」と熱いメッセージをもらいました。また、埼玉県の公立高校2校とのオンライン国際交流も実施しました。

澁澤教頭 南アフリカでのワークショップ
澁澤教頭 南アフリカでのワークショップの様子

 ー 秩父高校への着任が決まったときのお気持ちは。

松本校長 秩父高校はよく知っている学校ですし、名誉なことだと感じました。新校ということでやりがいも大変さもあるだろう、と。皆野高校との統合ということで、懐かしい場所に帰れるのかな、という気持ちもありました。

澁澤教頭 久しぶりに戻ってみると、職員の3分の1くらいは知っている先生方でした。いろいろな先生とコミュニケーションをとりながら仕事をするのが教頭の仕事なので、新校準備の大詰めの時期に安心感を持ってスタートできたと感じています。

壇上
開校式・入学式では旧秩父高校と皆野高校の校旗が並び、新校章が掲げられた

皆野高校との統合が生んだ新しい学び

2026年4月の新校スタートにあたり、普通科のカリキュラムも大きく刷新されました。皆野高校の商業系科目の流れをくむ「ビジネス基礎」が3年次の選択科目として加わり、看護医療系進学を意識した問題演習も拡充されています。

 ー 普通科に「ビジネス基礎」が入った背景を教えてください。

松本校長 皆野高校との統合で、皆野高校が培ってきた要素をカリキュラムに残したい、という思いがありました。秩父地域では公務員就職を志望する生徒も増えていますし、社会に出てから役立つ基礎教養科目として、ビジネス基礎はとても大事だと感じていたんです。

 ー どんなことを学ぶのでしょうか。

松本校長 世の中の経済活動のあらゆることが対象になります。「東京タワーに商標権はあるのか」といった話や、著作権、経済活動の基本的な考え方などがコンパクトに学べる科目です。簿記のような専門色の強い内容というより、「社会で生きていくための基礎」が身につく、一生役に立つ知識が詰まっている科目だと思います。

 ー 看護医療系の問題演習も拡充されたそうですね。

澁澤教頭 秩父高校は進学が多数派で、就職は全体の約5%ほど。公務員志望の生徒も増えていて、看護医療系を志望する生徒も毎年一定数います。生徒一人一人の進路に対応できるカリキュラムにしていきたい、という思いから拡充しました。

 国際教養科が大切にする「教養」と「発信」

2026年4月に新設された国際教養科。普通科と国際教養科は教室が隣同士で、総合探究や体育、芸術、文化祭・体育祭、部活動は一緒に行います。それぞれの学びのノウハウを相互に生かし合う設計です。

探究活動や授業の様子1 探究活動や授業の様子2
探究活動や授業の様子

 ー 学科名にある「教養」には、どんな思いが込められていますか。

松本校長 「国際」という言葉を掲げると、どうしても英語教育の印象が強くなりますが、私たちが大切にしたいのは「教養」の方です。バックグラウンドがあって、初めて語れるものがある。発信の手段の一つが英語で、発信の仕方そのものも学ばなければいけない、と考えています。結果的に英語力が上がって大学受験につながるケースはありますが、そこが目的ではありません。秩父の文化を自分の中にベースとして持ち、ロジカルに話ができる。総合的な人間力をつけていくのが国際教養科の狙いです。

 ー 秩父地域で「国際」を学ぶ意義と、授業の特徴を教えてください。

澁澤教頭 ベースにあるのは、「秩父」というローカルとグローバルをつなぐ、という考え方です。秩父地域は観光地でインバウンドも増えていますし、ここから世界へつながる人材を育てたい、という思いが国際教養科の設立につながっています。

秩父高校では学科を問わず、生徒自身が地域の課題を見つけて取り組む探究活動を軸に据えています。秩父で見つけた伝統や魅力を、自分の言葉として世界に発信できる力を、入学してきた生徒たちに身につけてほしいと思っています。

国際教養科のロゴ
国際教養科のロゴ

 ー 具体的には国際教養科の授業ではどんなことが学べるのでしょうか。

澁澤教頭 発信する力を身につけるために、身振り手振りや抑揚といった見せ方、質問に対するロジカルなやり取りも大切にしています。プレゼン合宿や、2年生での英語ディベートの授業で、話すテクニックと話す内容のクオリティーを両方上げていく予定です。

校舎リニューアルと、新校章に込めた意味

 ー 校舎の大規模改修について、どんなことが変わりましたか。

澁澤教頭 教室は木質化して、黒板もホワイトボードに変わりました。プロジェクターを使う授業が増えているので、ホワイトボードの方が授業効率が上がっている印象です。

校長室の目の前にはエレベーターを設置。秩父高校は1年生が2階で3年生が4階、と学年が上がるほどフロアが上がる造りで、階段が難しい生徒にとっては大変だったんです。まだ改修は進んでおり、全館の完成は2028年を目標にしており、段階的にアップデートを進めていきます。

木質化された教室
木質化された教室
エレベーター
エレベーター

 ー 新校章に込められた意味を教えてください。

澁澤教頭 1本の線でつながったイチョウの葉が、人と人とのつながりをイメージしています。葉が輪になって一周する形は、地域と世界がネットワークによってつながる様子を表しています。葉の大きさに違いがあるのは、それぞれの個性を表しているようにも見え、見る人によってさまざまな意味を重ねられる、余白のあるデザインだと思っています。

新校章ロゴ・旧校章ロゴ
新校章・旧校章

これまでのイチョウのモチーフを引き継ぎながら、新しいデザインが生まれました。新校章のデザインは「malme.design(マルメデザイン)」の吉田武志さんが手がけました。二つの最終案から、秩父高校・皆野高校の在校生と職員の投票で決定しました。2026年度内には新校章の校旗を整備する予定です。

どんな学校にしていきたいか

 ー 秩父高校らしさは、どんなところに感じていますか。

松本校長 着任して1カ月あまりですが、生徒の力を一番感じます。対面式や入学式で司会を務める生徒の姿は、台本どおりではなく「自分の言葉として話している」という印象です。秩父高校にいることへの誇りが、生徒の表情や態度から伝わってきますね。

澁澤教頭 良き伝統は継承しつつ、変わるべきところは変わる、というのが新校の軸です。特進クラスの進路指導は十分に残しつつ、国際教養科や普通科のカリキュラムはこれからの時代に合わせて更新していく。秩父農工科学高校がスペシャリストを育てる学校だとすれば、秩父高校はジェネラリストを育てる学校です。地域と世界をつなぐことが新校のアイデンティティになるのかな、と思っています。

 ー これからの秩父高校をどんな学校にしていきたいか、お聞かせください。

松本校長 三つあります。まず、生徒たちが夢を素直に語れて、その上で切磋琢磨できる素地がある学校であること。次に、想像力を育てること。今ここにいながら、あらゆる時代、社会、場所に意識を向けて考えられる力です。その想像力がリーダーシップにもつながりますし、相手の心に思いをやる思いやりにもつながります。

もう一つは、高校3年間で「自分の学びのスタイル」を身につけてもらうこと。高校や大学で学んで終わり、ではなく生涯にわたって学び続けるための土台を、この3年間で築いてほしいです。ジェネラリストとして、心身の健康とバランス感覚を備えて社会に出ていく。そのサポートをしていきたいと思っています。

澁澤教頭 せっかく新校になったので、秩父地域全体で教育力を高めていけるような学校になりたいと思っています。秩父地域で、小学校から中学、高校まで地域の子どもたちがしっかり育っていく、その一翼を担える学校でありたいです。小中学校を含めた地域との連携も、できる範囲でこれからも広げていければと考えています。

屋上でのツーショット

秩父高校
設立: 1907(明治40)年5月7日
埼玉県秩父市上町2丁目23−45
TEL:0494-22-3606
https://chichibu-h.spec.ed.jp/

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