「秩父ワイン」(小鹿野町両神薄)が6月4日、同町の定例記者会見で、新ブランド「DOMAINE CHICHIBU(ドメーヌ・チチブ)」のワイン全6種類を発表した。
同シリーズは、栽培から醸造までを一貫して手がける「ドメーヌ」の名を冠した同社の最上位ブランドとなる。5月28日に店頭やECサイトで通常販売を始めており、今回の会見では、同町のふるさと納税返礼品に加わったことも公表した。
1940(昭和15)年に醸造免許を取得した同社は、創業時から自社畑でのブドウ栽培とワイン醸造を行ってきた。1970年代から新たに自社畑を開墾してヤマブドウの栽培を始めるなど、自社栽培の規模を拡大。2000(平成12)年ごろからは別の自社畑で武甲山の石灰岩を敷き詰めるなど土壌改良を重ね、シャルドネやメルローといった西洋系品種の栽培にも挑戦。果実の凝縮感を高めるため、収穫量を通常の5割ほどに制限している。
これまでは自社畑産のブドウと仕入れたブドウから醸造したワインが混在し、価格や仕様の区別が消費者に伝わり切らない課題があった。ドメーヌシリーズはこうした課題を解消し、国際基準のブランド体系を確立する狙いもある。昨年のフランスの国際コンクールでの銀賞受賞も、創業100年を迎える2040年に向けたブランド刷新を後押しした。
ボトルの容量は、海外市場への展開を見据えて世界基準の750ミリリットルを採用。複数年の原酒をブレンドして味わいを整えた「オガノ・ルージュ」のみ、720ミリリットルボトルで販売する。
4月には、次世代の担い手として取締役の村田道子さんの長男・啓吾さんが入社し、家族経営による技術の継承を進めている。啓吾さんは大学と大学院でワイン醸造を学び、長野県のワイナリーでの2年間の修業を経て帰郷した。初代の浅見源作さんが地域振興のために独学で始めた「規模の拡大を追わず、実直に品質を高める」という精神と、長年培った技術を受け継ぐ。
啓吾さんは「奥秩父の貧しい村を何とかしようとブドウ栽培を始めた初代の歴史を読み、当時の苦労のうえに今があると感じた。天才肌の現代表が造るワインの味をどこまで再現できるかプレッシャーはあるが、これまでの秩父ワインを崩さずにやっていきたい。将来的には、当社でまだ例のないスパークリングワインの醸造にも挑戦したい」と意気込む。道子さんは「このドメーヌシリーズがふるさと納税返礼品に加わったことで、小鹿野のテロワール(風土)を全国に知ってもらう切り口の一つになれば」と期待を込める。
一般向けの販売価格は3,300円~6,600円。ふるさと納税の寄付額は、1万4,000円~2万8,000円、全6種類のコンプリートパックは11万3,000円など。