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長瀞町「秩父織塾工房横山」、埼玉県知事賞を受賞 秩父美術展工芸部門

秩父織塾工房横山の3代目 横山大樹さん

秩父織塾工房横山の3代目 横山大樹さん

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 長瀞町の「秩父織塾工房横山」(長瀞町矢那瀬)が「第69回秩父美術展」工芸部門で埼玉県知事賞を受賞した。

埼玉県知事賞を受賞した作品

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 受賞作品の銘仙は、審査項目である「素材のクオリティー」「素材を自由にコントロールする技術・テクニック」「素材と技術を用いた表現力」の3点を総合評価され選ばれた。代々の経験と技術が受け継がれた作品である点も評価された。

 秩父織塾工房は1920(大正9)年、初代横山忠安さんが創業し、戦前から昭和にかけて秩父銘仙を制作。2代目の横山敬司さんは「秩父銘仙館」(秩父市熊木町)の立ち上げなど秩父銘仙の復活に取り組んだ。

 現在は3代目の横山大樹さんが受け継ぎ、昔ながらの製法で織り上げている。秩父地域の歴史や伝統技術を絶やさぬよう後継者の育成にも取り組み、毎週金曜日に、はた織り教室や一般向けの織りや染めの体験教室も行っている。

 横山大樹さんは「今回の作品は2色のよこ糸を使い、一方のよこ糸には地色を染めた後に柄をつけ、霜降りになるように細工し、糸が部分的に輝くように織り上げた。非常に手が込み、時間をかけて大切に織り上げたもの。評価していただけて大変うれしい」と話す。

 「昔は分業制だったが、今は全工程を1つの工房でこなすようになった。当時から使われてきた手機の織機などの道具を2代目の時代に譲り受けて復元したり、メンテナンスをしたりして今も現役で使っている。昔の人の手間と技術はすごかった。スペシャリストの層も厚く、今ではとてもまねできないし、かなわない」と横山さん。

 「中古で安くいいものが手に入るが、それとは違うもので勝負していかなければならない。今回は美術というカテゴリーの中で、銘仙や機織りという先入観がない人が見ても『これいいんじゃないか』という評価をいただけてありがたい。次のステップに進むには、今までにないもので認めていただくしか方法はない。続けること、やり続けることが大切」とも。

 同工房は11月5日・6日に秩父地域地場産業振興センター2階ロビーで行われる「第3回伝統工芸士作品展&秩父銘仙販売会」(開催時間:10時~17時)や、長瀞町・宝登山神社正面参道特設会場で行われる「ちちぶのめぐみ感謝市」の11月20日・23日(開催時間:10時~16時、23日は15時まで)に出店予定。

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