秩父市内で材木や建材、住宅設備機器などを中心に販売してきた友愛商事(秩父市上町)が、テークアウト専門でのホルモン焼き用の肉の販売を始めて9月で3年がたった。
1962(昭和37)年創業の同社は秩父市内で材木や建材、住宅設備機器などを中心に販売してきたが、年3回、取引先建築業者を対象に展示即売会を開いており、その際に「ホルモン焼きを振る舞う商談スタイル」を続けてきた。
この商談スタイルは創業から50年以上にわたって続けられ、社長の幸島潔さんが大学進学で秩父を離れてから家業を継ぐために帰郷した際、子どものころから親しんできたホルモン焼きが秩父独自の食文化だと気付き衝撃を受けたという。
そうした中、取引先の建築業者から、展示会で振る舞っている「ホルモン焼きの肉を販売してもらえないか」と言われたことがきっかけとなり、「秩父の材木屋のホルモン」として商品化し、3年前の9月に販売を始めた。
肉の加工、仕入れはOEMで行っているが、大き目な肉のカットのサイズや、漬けこんでいるタレのニンニクやトウガラシなどのレシピに関しては幸島さんが監修している。幸島さんは「秩父の材木屋のホルモン」を販売するに当たり、食品衛生責任者として秩父保健所からの営業許可も取得した。
秩父のホルモン焼きの発祥は一説に、荒川の上流大滝地区に1956(昭和31)年に着工し、1961(昭和36)年に完成した「二瀬ダム」の建設に携わる人に、値段が安くて精がつき、おいしいものを提供しようと市内にホルモン焼きを提供する店ができ始めたという説がある。当時は数軒しかなかった店が、今ではホルモン焼きを提供する店が増え、ホルモン焼きは秩父のソウルフードとまで言われるようになっている。秩父は隣接する群馬県が豚の生産量が本州では一番であることから、新鮮な豚の内臓肉を仕入れるのに有利なことも背景にある。
「秩父の材木屋のホルモン」はいずれも真空冷凍パックで、肉の種類はシロ(豚の大腸)、カシラ(豚の頭肉)、バラ(豚のバラ肉)を650グラムごとセットした組み合わせで販売。店頭や楽天の矢尾百貨店通販サイトで扱う。
幸島さんは「売上は年々順調に伸びてきている。食べる際には炭火焼きを推奨しているが、家庭ではフライパンなどで炒めて食べてもおいしい」と話す。