埼玉県立秩父高校(秩父市上町)で7月15日、書評合戦「ビブリオバトル」が行われ、全校生徒約580人が参加した。ビブリオバトルは、発表者が勧める本の魅力を5分間で紹介し、投票で最も読みたくなった「チャンプ本」を決める。
同校はビブリオバトルを10年以上前から継続しており、2024年度には文部科学大臣が「子供の読書活動優秀実践校」として表彰した。約4万冊の蔵書がある学校図書館を備えるほか、毎年3月にはクラス全員で同じ本を読み解き議論する「読書会」も全学年で行っている。
当日の校内予選は、まず生徒が5~6人の班に分かれて本を紹介し、班代表を選出した。選ばれた班代表たちがクラス全体の前で発表を行い、投票でクラス代表を決めた。
各クラスの代表になった生徒たちは、それぞれの方法で選書や発表の準備を進めた。1年の新井里桜さんは恋愛小説「僕と君の365日」を選んだ。原稿を書くと覚えられないと考え、原稿を用意せずに臨んだ。当日話しながら内容の長さを調整し、5分間の発表をまとめた。2年の阿部実悠さんは、昨年もクラス代表に選ばれた。今回は「アルジャーノンに花束を」を選び、昨年の経験を生かして何度も読み返した。自身が引き込まれた場面を自分の言葉で整理して、今年も代表の座を得た。
3年の宮崎虎徹さんは、1年時と2年時に学校代表に選ばれた。2024年の県大会で準優勝したものの、昨年は大会当日にインフルエンザで欠場した。宮崎さんは普段、多くの本を読むわけではないが、ビブリオバトル自体に引かれ、時間をかけて選書しているという。今回はミステリー小説「閲覧厳禁」を選び、A3用紙の表裏に手書きした原稿を準備し、発表に臨んだ。当日は同級生たちの表情を観察しながら、一方的に語るのではなく質問を投げかけるなど、相手の反応に合わせた伝え方を工夫した。
野澤澄子司書教諭は「ビブリオバトルのキャッチフレーズである『本を通して人を知る、人を通して本を知る』という言葉の通り、読んだ本が一冊増えるだけで世界が広がり、本に救われることもあり、人生に深みが出る。生徒には、こうした行事が当たり前にある恵まれた環境を生かし、豊かな時間を過ごしてほしい」と話す。
小池美智子図書館司書は「文字の羅列から頭の中に情景が浮かぶのが読書の魅力。5分間発表する中で生徒それぞれの意外な一面が見え、同じ本を読んでも自分では気づかなかった場面に他の生徒が引き込まれていたり、全く異なる解釈が生まれたりする発見がある」と話す。
各クラスの代表生徒たちは、11月の県大会に出場する1人の学校代表の座を懸け、9月5日に開く同校の文化祭での代表決定戦に臨む。文化祭で行うビブリオバトルは一般公開し、来場者も審査員として直接投票に参加できる仕組みを整える。代表生徒たちは本戦に向けて発表内容の調整を重ねている。