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秩父・清雲寺で若手有志が桜の保全 100年後の景色見据え作業

当日は(左から)根津さん、茂木さん、関根さんの3人が作業に当たった。

当日は(左から)根津さん、茂木さん、関根さんの3人が作業に当たった。

 秩父の清雲寺(秩父市荒川上田野)で4月20日、しだれ桜を次世代へ継承するための保全作業が始まった。県指定天然記念物の樹齢600年とされる大樹を含む約30本のしだれ桜が境内に点在する同寺では、12日に特別参拝期間が終了。これを受け、地元の若手有志で組織する「桜守(さくらもり)」が境内や裏山の手入れに着手した。

樹齢600年のしだれ桜

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 桜守は、同寺を管理する秩父札所15番「少林寺」(番場町)の青年部を母体としたグループで、30歳前後の会社員や消防士、プロボクサーなど17人が所属する。この日は中心メンバーの根津翔悟さん、関根駿さん、茂木柾貴さんの3人が作業に当たった。

 メンバーは重機の操縦や高所作業、消防士が現場で用いる特殊なロープの結び方(ロープワーク)など、それぞれの得意分野を生かし、約15年前から自発的に活動を続けている。根津さんは「住職から暇ならおいでと誘われたのが活動の始まり。メンバーそれぞれ、得意なことが違う。無理をせず、自分にできることを大切にしている」と振り返る。 

 当日は、多くの参拝者が訪れた境内の草刈りや、将来の「桜の里」を見据えた裏山の手入れを重点的に行った。現在、同寺のしだれ桜の保全は「境内」と「裏山」で役割を分けている。境内では、来訪者の安全確保と木の負担軽減を行う。しだれ桜は横に広がる枝が自重で折れて落下する恐れがある。来訪者のけがを防ぎ、木にかかる負担を減らすため、様子を見ながら支柱の点検や増設も進める。

 裏山では次世代の桜の育成に注力。今年はこれまでに、5~6年生の苗木約20本の植栽を完了した。裏山は砂利や石灰質を含む地盤で掘削が困難なため、メンバーが持ち込んだ重機で穴を掘り、植栽を進めた。現在は苗木を含め裏山で約200本を育てており、100年かけて現在の10~20倍に広げる構想を持つ。老大樹が寿命を迎えた後も桜の名所を維持できるよう、一帯の里山化を進める。関根さんは「1回来ても、大きな変化はない。10年、20年後に変化に気づくような長い計画」と話す。

 茂木さんは「悩み事があると住職に相談に行く。20年後の桜の景色を見るためには、今やるしかない」と意気込む。井上圭宗住職は「みんな幼い頃から知っていて、損得ではなく邪心なく手伝ってくれている。私が亡くなった後も、彼らや次の世代がこの桜を引き継いでくれることを期待している」と話す。

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