横瀬町で狩猟事業を行っている「カリラボ」(横瀬町芦ケ久保)が10月6日、鹿肉を使ったソースと生パスタのセット「鹿ラグーパスタセット」を発売した。
カリラボの吉田隼介さんは、趣味が高じて2016(平成28)年に狩猟免許を取得。平日は都内で会社員として勤務しており、2017(平成29)年からは横瀬町と都内の2拠点生活をしている。2019年10月に狩猟を主軸として同社を設立。2022年には「横瀬ジビエ製造場」を作り、昨年1月頃からは町の猟友会が捕獲した鹿の受け入れを始めた。
初年度は150頭ほどの鹿を受け入れ、同所で解体後に真空冷凍し、秩父だけではなく県内や都内、神奈川のレストランなどにも卸してきた。吉田さんは「友人や知人からレストランを紹介してもらい、思っていた以上に多くの店と縁ができた」と振り返る。「捕獲した鹿の引き取りから、命を絶つ作業(止め刺し)、運搬、解体などの手間を当社が引き受けることで猟友会の方から楽になったという声も聞く。ふるさと納税に採用されたことを伝えた際には喜んでもらえた。捕獲から商品化の仕組みができたことで、地域の鹿の捕獲ペースが上がったと思う」とも。
「これまで当社が販売していたのはジビエの精肉が中心だった。『ジビエ肉は手を出しにくい』と思われていたようなので、昨年末に鹿肉のソーセージ(3本入り、1,600円)を発売した。より手に取りやすい商品を検討し、パスタセットに至った」と吉田さんは商品開発のきっかけについて話す。
同商品は清川製麺(秩父市中村町)の生パスタ120グラムと、トマトベースの鹿肉を使ったラグーソース120グラムを冷凍したセット。ソースには、年中手に入り、鹿肉に相性がいい食材を検討し、横瀬町産のシイタケも使っているという。「ゴロゴロとした鹿肉の食感を楽しめるように、鹿ひき肉を炒めるときに混ぜすぎないようにした。鹿肉は混ぜ物なしで100%秩父のものを使っている。さっぱりしたソースに仕上げているので、鹿肉本来の味を楽しめるようにこだわった」とも。
「パスタセットは、ソーセージと共に横瀬町のふるさと納税で取り扱いを予定している。現在は鹿肉のハムやジャーキーも開発している。鹿の外ももを使ったハムは試作段階で、とてもジューシーに仕上がり、自信があるので期待してほしい。ジビエは捕獲しても食用にされず捨てられてしまうことも多い。効率化が進んで流通がもっと手軽にできるようになれば、結果的に流通価格が抑えられるし、鳥獣害対策にもつながるはず」と意気込みを見せる。
価格は1人前1,900円。「道の駅 果樹公園あしがくぼ」「A_Sta.Ba(アスタバ)の自動販売機」(以上、横瀬町芦ヶ久保)、「じばさん商店」(秩父市宮側町)と自社ECサイトで販売する。