無人駅の上長瀞駅(長瀞町長瀞)を活用した「瀞場(とろば)TOROBA」が9月13日にオープンした。
施設の内装の多くはDIY 竹は景観維持のために伐採した竹を使う
同所は駅改札の窓口でクラフトビールやフィンガーフードの販売をする他、地域の飲食店がポップアップ出店したり、地域の子どもが楽しめる場所として流しそうめんやスイカ割りなどのイベントを不定期に開いたりするなど、地域に人が集まる場所として活用していく。運営はSHIN LOCAL(シンローカル)で、同社社長の清水勇多さんは「上長瀞駅を日本一面白い駅にする」という目標を掲げて事業を進めていくという。
同施設の壁に使われている竹は、駅のすぐ下の川沿いで景観維持のために伐採された竹を活用している。長瀞の「瀞(とろ)」の文字は、「川の流れが静寂で緩やかな場所」を指し、明治初期から川の深いよどみを指す言葉として「瀞」が用いられており、長瀞町の名前の由来にもなっている。清水さんは「瀞という文字にふさわしい場所になるよう、日常の騒がしさから少し距離を置き、自然を感じながら新しい人やものとの出会いを楽しんでほしい」と話す。
清水さんが所属する「上長瀞駅及びその周辺活性化委員会」の活動内で、2022年3月から上長瀞駅が無人駅になるが、無人駅の利活用ができないかという話があったことが同施設オープンのきっかけ。清水さんは資金集めとしてクラウドファンディングを活用し、目標金額150万円を大きく上回る181万3,000円を調達し、125人がプロジェクトを支援した。
「支援してくれた人の中には面識のない人もいて、新しい出会いのきっかけにもなったクラウドファンディングだった。上長瀞駅を利用していた人、長瀞で生まれた人など、メッセージやコメントを頂く度に、誰かの思い出の場所を使わせていただくことを認識した」と清水さんは振り返る。
清水さんは「WITH RIVER」というブランドを立ち上げ、川に流れても自然を汚さないオリジナルソープなどの開発・販売、子ども向けの自然体験学習をテーマにしたアウトドアプログラムにも取り組む。「アウトドアプログラムではわずかだが、雇用にもつながっている。関わってくれる人たちが夢を持って挑戦できる場所、地域の価値を最大化できる場所として、無人駅活用の成功モデルにしていきたい」と期待を込める。
「地域の人たちに支えてもらって実現しているので感謝している。夜も営業しているので、仕事終わりにでも遊びに来てほしい。隣り合う長瀞駅と上長瀞駅の全く違う雰囲気を楽しんでもらえれば。長瀞駅で電車を降りて長瀞を楽しんでもらい、上長瀞駅から乗車して帰るという観光モデルの発信にもなれば」とも。
営業時間は15時~22時。改札の窓口でクラフトビールやソフトドリンク、フィンガーフードを販売する。水曜・木曜定休。