秩父札所34カ所を自転車で巡り、各札所に設置されている「秩父札所サイクル巡礼」のデジタルスタンプラリーを達成した人を対象に「秩父札所公認サイクリスト(通称「サイクル先達」)」として認定する制度が、10月14日から始まった。
同制度は、西武鉄道から地域活性化起業人として出向し、秩父市役所観光課に勤務している中村大輔さんの提案に基づき、秩父地域おもてなし観光公社と秩父札所連合会の協力で行う。
秩父の札所には2012(平成24)年から行っている自転車利用者を対象にしたデジタルスタンプラリー「秩父札所サイクル巡礼」がある。今回の「サイクル先達」はデジタルスタンプラリーを活用し、自転車で札所を巡って全てのデジタルスタンプを集めて1,500円の認定料を支払った参加者に、認定証とオリジナル記念品を進呈する。
中村さんは「もともと自転車に乗るのが好きで、1年半前に秩父で行ったのが自転車での札所巡礼だった。自分は2日間かけて約115キロを回ったが、その時に秩父の土地勘や秩父地域の知識を得ることができ、『秩父の魅力を知るきっかけになるのでは』と感じた。既に存在する秩父札所サイクル巡礼を、もっと有効に活用できないかと考え、今回の事業を提案した」と話す。
事業実現に向けて中村さんは、秩父市自転車普及推進員として活動しているBMXプロライダー高山一成さんにも現地調査と事業全般のアドバイザーとして協力を依頼した。現地調査では菅笠(すげがさ)を自転車用のヘルメットに付け、巡礼者が着物の上に羽織る笈摺(おいずる)を着て回ったという。
秩父札所連合会の丹羽隆浩さんは「中村さんの話は良い案だと思った。札所巡礼には昔から信仰だけでなく観光の要素もあったと感じている。昔は歩いて回っていた巡礼も、今は人によってお参りの仕方も違う。サイクリングで体を動かして、札所で静かにお参りするという両方の局面があっていい。若い人たちにも秩父の自然と寺で過ごす時間を楽しんでほしい」と話す。
「秋は自転車で巡るには気持ちの良い季節。自転車に乗って風を感じながら伝統に触れ、秩父の魅力を五感で楽しんでほしい。札所を自転車で巡りきった証しとしても、認定証をもらえることで参加者の喜びにつながるのでは。秩父鉄道や西武鉄道では自転車と一緒に乗車できるサイクルトレインも行っているので、気軽に参加してもらえれば」と呼びかける
本年度の認定は来年3月24日までだが、来年度以降も今年度の取組みの結果も踏まえ、制度を継続していく予定。