「長瀞トリックアート有隣倶楽部(ゆうりんくらぶ)」(長瀞町長瀞)が2月25日、秩父鉄道長瀞駅から宝登山神社に向かって10分程の場所にオープンした。秩父鉄道のグループ会社、秩父観光興業が運営する。
元は有隣倶楽部という名の秩父鉄道の保養所で1928(昭和3)年に完成したが、1980(昭和55)年に現在の場所に移設。団体向けの食事処として営業していたがコロナ禍で建物の利活用を考えた結果、約690平方メートルの広さに34点のトリックアートが集まる施設に生まれ変わった。同施設の名前を残して「長瀞トリックアート有隣倶楽部」としている。
「有隣」の言葉は論語の「徳は孤ならず必ず隣有り」から。秩父鉄道初代社長・柿原萬蔵と縁のあった渋沢栄一翁の直筆で「隣有必孤不徳」と書かれた書があり、名前の由来となった。同書は同施設に飾っている。
トリックアート体験施設オープンの経緯について、スタッフの松島克己さんは「コロナ禍で観光や飲食が落ち込み『何とかしなければ』とトリックアートに目をつけた。関係施設などに行き勉強を重ねていくと、トリックアートの種類にも洋風や和風があり、和風のトリックアートは少ないことに気づいた。和風の施設は日本で3番目。建物自体も純和風なので、建物の利活用にちょうどいいのではと考えた」と話す。
同施設に入館すると、スタッフのガイドでトリックアート体験が始まる。34点のさまざまなトリックアートが施設内にあるが、スタッフが写真の撮り方やトリックアートの解説をしながら途中まで同行する。1人で来場した人でもトリックアートの前でセルフタイマー機能を使って自撮りできる仕組みを用意するほか、スタッフに声をかけて写真撮影を手伝うことも可能。
松島さんは「ガイドが同行してトリックアートを楽しんでいただくことで、気が付かないトリックアートの楽しみ方や、目の錯覚の不思議などに触れてもらっている。上手にトリックアートの撮影ができる方法もお伝えしている」と話す。
同施設内は「江戸タイムスリップ」「忍者屋敷」「怖くないお化け屋敷」「動物」の4つのエリアに分かれており、中の展示は今後、年に1度、5分の一ずつ入れ替える予定。同施設内には庭園を眺めながら椅子に座れる休憩スペースも用意する。
松島さんは「今後は正面の『ガーデンハウス有隣』で食事を楽しめるプランや、庭園を楽しんでもらうプランを考えていきたい。長瀞はアウトドアのイメージが強く、『雨が降ると楽しめないのでは』と思う人も多いので、当施設で雨の日でもトリックアートを楽しんでもらえれば」と呼びかける。
営業時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は、大人=1,000円、中高生=700円、3歳以上=500円、2歳以下無料。秩父鉄道長瀞駅前から無料シャトルバスも運行する。