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奥秩父「そば処 和味」、寒ざらしそば の仕込み作業始まる

寒ざらしそば「天日干し」作業

寒ざらしそば「天日干し」作業

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 秩父の「そば処 和味(なごみ)」(秩父市荒川、TEL 0494-54-1219)で、寒ざらしそばの仕込みが始まった。

そば処 和味 店主の江田治雄さん

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 「寒ざらしそば」は、江戸時代に、玄そば(収穫後、殻をとっていないそばの実)を種子として保存するための手法だったといわれている。玄そばを冷たい水に浸すことにより、あくが抜け出し、そば自体の甘みが増してまろやかな味になるという。江戸時代に信濃国高遠藩が「暑中信州寒晒蕎麦」を将軍家へ献上した記録が残っている。

 店主の江田治雄さんは、同地域の畑でそばを作っており、当日提供分の自家栽培したそばを石臼で粗びきにしたそば粉で手打ちし、ゆでたてのそばを提供しており、同店では10年ほど前から「寒ざらしそば」を提供している。

 昨年秋に収穫した新そばを厳寒の清流に漬ける。今年は民宿山宝(荒川小野原)と共同で、玄そばを川に漬ける作業を行った。10日ほどで引き上げ、晴天続きを見計らって3~4日乾燥させる「天日干し」、その後5日ほどかけ「ごみ飛ばし」「石抜き」の工程を行う。

 江田さんは「3年前に玄そばを川にさらす前後の成分分析を埼玉県食品衛生協会検査センターへ依頼した。結果、さらした後は成分含有量が微妙に上がっていて、アミノ酸やルチンの量は特に上がっていた。データで出ると説得力がある」と話す。

 「川選びは、食物をさらすので上流に民家や別荘が無い、人里離れた川が一番の条件。今までいくつか試しながら店から近い荒川の支流の安谷川や、そこからさらに支流の寺沢川に漬けた。今年は水温もよく下がっていて良い。寒ざらしそばが地域振興の一環になれば」と江田さんは期待を込める。

 寒ざらしそばの提供は天候次第で、順調にいけば2月4日から1カ月ほどで、3月中旬から下旬頃の寒ざらしそばが無くなるまで行う。「そば処 和味」のそばは1日49食限定で、49食のうち20食を寒ざらしそば、29食は通常のそばを提供する。秩父のそば粉で年間提供するため、1日50食が限度。間違いのないものを出すため1食分を店主が味見しているという。

 営業は金曜~日曜・祝日の11時~(売り切れまで)。

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