秩父農工科学高校(秩父市大野原)演劇部が、1月21日・22日に開催された「第58回関東高等学校演劇研究大会」で最優秀賞を受賞した。同大会で行った芝居の題は「群白残党伝」で秩父事件の4年後を表現した舞台。史実を参考にしたオリジナルの劇となっており、同大会内の北関東ブロックで2年連続の最優秀賞受賞となった。
同作品を作った顧問の小池豊先生は「自分が社会科の先生ということもあり、秩父の歴史には以前より興味があった。中でも秩父事件はずっと芝居として表現をしたいと思っていた」と話す。最近は学生の心の葛藤を表す作品が多く、演劇部内で明治時代を舞台にした時代劇を作ることはほとんどなかったという。「いつやるかタイミングを見ていたが、ロシアのウクライナ侵攻などの背景をみて、いま改めて取り上げるべきだと感じ、当時の3年生にも相談して今回の公演が決まった」と振り返る。
部長の粂谷さんは「芝居が秩父事件を題材と聞いてからは、秩父事件の本を借りて読んで、当時の人の気持ちを想像したり、秩父弁のことは祖母たちに聞いてイントネーションを確認したりして当日に備えた」大道具を担当している副部長の今泉さんは「群白残党伝の装置は角度にこだわっていて、作るのが大変だった。糸車や機織り機も秩父の本などを見て舞台用に作成した」と話す。
1月29日には第43回自主公演「SPIRIT」を秩父宮記念市民会館(秩父市熊木町)で行い、「群白残党伝」と「パラレル」というオリジナル作品を披露した。200以上のスポンサーからの支援があり、来場者数は約900人となった。公演後はカーテンコールで演劇部の全生徒35人が舞台に上がり、1人1人元気にあいさつをして幕を閉じた。
小池先生は「生徒全員が病気にかかることなく参加することに注力した。準備段階でも感染症対策を行い、無事に全員参加できてほっとしている」と話す。
「パラレル」の舞台監督を務めた副部長の松本さんは「2022年の3月に舞台監督に立候補して始めは不安しかなかった。自主公演で全体を指揮できたことや、3年生と行える最後の芝居だったため、公演後はつい涙してしまった」と話す。
今年の7月には全国高等学校演劇大会(鹿児島)が行われる。関東大会は当時の3年生が中心なっていたが、全国大会は当時の2年生にバトンを継いで行う。粂谷さんは「当時は役者としても群白残党伝に出させてもらい、自分の配役に不安があったが全国大会の出場権を得られて嬉しい。3年生の期待にも応えられるよう頑張りたい」と意気込む。
次回以降の新作品について小池先生は「今は作品を作り上げたばかりなので未定だが、秩父を舞台にした題材は機会があればまた考えていきたい」と話した。