ちちぶ丸山農園(秩父市大野原)が12月1日、マルツ食品(深谷市岡部)と共同開発したキュウリの漬物「弓削田醤油(しょうゆ)薫る秩父きゅうり」と「ヤマブ味噌(みそ)薫る秩父きゅうり」を発売する。
同園は大小5棟のビニールハウスで、キュウリをはじめ、トマトやナスなども栽培している。秩父のウイスキー「イチローズモルト」を造る秩父蒸留所から大麦麦芽の搾りかす「ドラフ」やミズナラたるの削りかすをもらい受け、同園内で発酵熟成させた堆肥を使っている。「特製ウイスキー麦芽堆肥」を活用することで土壌環境を整え、持続可能な作物の生産を目指している。
同園は農産物の栽培だけでなく、キュウリを使った漬物の開発・販売も行っている。「秩父ピクルス」シリーズは2019年、西武鉄道「52席の至福」の手土産品として販売を始めた。これまでにハーブ風味の「秩父きゅうりピクルス白」、赤ワインとプルーンの酢で味付けした「秩父きゅうりピクルス赤」、燻製(くんせい)ビネガーを使った「燻製香る金曜日の夜」などの商品を展開してきた。
新商品は従来の浅漬けタイプのピクルスとは異なり、古漬けタイプとなる。「ヤマブ味噌薫る秩父きゅうり」には皆野町の「新井武平商店」(皆野町皆野)の秩父みそを使い、「まろやかでコクのある味わい」に仕上げた。「弓削田醤油薫る秩父きゅうり」には、仕込み水に秩父の伏流水を使った弓削田醤油を使い、刻んだショウガを加えることで香りと風味を引き立てたという。いずれもキュウリを3カ月間乳酸発酵させ、その後1カ月ほど調味液の漬け込む工程を経て製造した。
同園の丸山貴吾さんは、市販の漬物やピクルスがあまり好きではなかったという。「自分が食べやすい漬物を作りたくて、まろやかな味のピクルスを作って商品化した。ご飯に合う漬物を希望する人が多かったため、今回は古漬けの商品開発を行った」ときっかけを明かす。「スーパーで野菜を買って漬物を試作したところ、当園のキュウリと市販のキュウリでは全然味が違うことにマルツ食品の担当者と共に驚いた。濃厚だけどしょっぱくないので、米に合うおかずとしてもつまみとしてもお薦め。漬物を手軽に楽しんでほしい」と呼びかける。
秩父高校の「総合的な探究の時間」の授業とも連携し、メープルシロップを使った新商品の開発も進行中だという。「秩父でしか買えない味、秩父らしい原材料で商品を開発したいし、今後は漬物だけでなく、飲料やお酒、化粧品などにも挑戦できたら」と丸山さんは話す。
カップ入り(ようじ付き)120グラムで、価格は550円。「じばさん商店」(宮側町)で扱うほか、今後は「矢尾百貨店」「まつりの湯」「道の駅ちちぶ」などでも販売を予定する。