横瀬町で教育事業を展開している「タテノイト」が来年4月、秩父地域初のオルタナティブスクールを開校する。小学1年生~中学3年生を対象とし、週5日通学。子どもの興味関心を引き出す体験を重視した新たな学びの選択肢を目指す。
タテノイトは、神奈川県川崎市出身の舘野繁彦さんと横瀬町出身の春香さん夫婦が運営する。2人は以前、地球惑星科学を専門に研究していたが、保育士に転身。2019年から「えほんカフェ」「森のようちえん」、フリースクール「ナゼラボ」を運営し、子どもたちの探究心を引き出す学びを研究している。
オルタナティブスクールとは、既存の公立学校とは異なる理念やカリキュラムを掲げた教育施設。「学校教育法第一条」で規定されたものではないため、塾やインターナショナルスクールと同じ扱いとなる。昨今、国内の小中学生の約3~4%に当たる34万6000人ほどが長期欠席しており、多様な学びの選択肢としてフリースクールやオルタナティブスクールの重要性が高まっているという。
タテノイトでは、子どもたち一人一人の興味や探究心を引き出す教育を重視し、自然体験やプロジェクト型学習を通じて「子どもたちの主体的な学び」をサポートする。特に異年齢の子どもたちが一緒に学ぶ環境を重視しており、年上の子どもが年下の子どもを助ける場面や、逆に年下の子どもから年上の子どもが刺激を受けることで、互いに成長が見られるという。
既存の「森のようちえん」では幼児期の子どもたちが「自然の中で感性を育み」、「ナゼラボ」では小中学生が学校外の学びを深めるフリースクールとして機能している。新たに開校するオルタナティブスクールはこれまでの活動実績を生かし、より継続的で体系的な教育を行う場を目指す。
新スクールでは「自然の中での活動」「本との出合い」「多様な大人との関わり」の3つを大切にするという。「自然の中にいると、いつも快適ではないことや自分の思い通りにならないことも含め、季節の移ろいや植物・動物への気づきを得る。本を使った学習と体験との往復で知識が深まり、自分で探究を進める力が育まれる。さらに、さまざまな職業や背景を持つ大人たちと交流することで、子どもたちに多様な価値観や未来の選択肢が生まれる」と繁彦さん。
繁彦さんは「子どもが夢中になれるものを見つけ、その学びを伴走するのが大人の役割。興味を持った分野を深く探究する経験が学びの楽しさを知るきっかけになる。既存の学校教育になじめない子どもにとっても、新しい可能性を探る場になれば」と期待を込める。
新スクールの定員は20人ほど。小学1年生~3年生=各学年5人、同4年生・5年生=若干名を募集する。申し込みは1月31日まで受け付けている。次回の体験会は12月7日を予定。