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秩父の介護タクシー「あべケアタクシー」、移送件数6500件突破

誠さんと直美さんと、愛犬のふくちゃん

誠さんと直美さんと、愛犬のふくちゃん

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 秩父の介護タクシー「あべケアタクシー」(秩父市上宮地町)の移送件数が9月4日、6500件を突破した。同社は2012(平成24)年5月に「あべ介護タクシー」として開業し、2017(平成29)年4月から「あべケアタクシー」に屋号を変更して営業している。

介護タクシー2台体制で対応する

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 代表の阿部誠さんは秩父市出身。聖望学園高校(飯能市)卒業後、都内の英会話専門学校で英語を学んだ。父の反対で留学は断念したものの、英語が使える仕事を求めて19歳で赤坂のホテルに就職した。23歳までは都内で暮らし、秩父に帰ってからは勤め先を熊谷や池袋のホテルへと転職した。

 1987(昭和62)年から2010(平成22)年まで池袋のホテルで勤め上げ、52歳のときに会社都合により早期退職。ホテル業界に戻ろうとしていたが、都内や県内などで求職活動をしてもなかなか次の勤め先が見つからなかったという。

 起業のきっかけは、誠さんが妻の直美さんと東京のホテルに泊まった際、新聞に掲載されていた「介護タクシーのオーナー募集」の広告が目に留まったこと。誠さんは「介護の経験はないが、これから勉強すればいいはず。タクシーならホテルマンの接客技術が生かせるのではないかと思い、すぐに広告元に問い合わせた」と振り返る。

 その後、誠さんはヘルパーと普通自動車2種免許を取得し、開業準備を整えていった。「開業準備中に師匠のような人との出会いがあり、現場研修に近い形で介護タクシーとしての応対方法を習ったり、お客さまを紹介していただいたりした。酸素ボンベやシガーライターから電源が取れるようにするインバーターなど、必要な設備も徐々に増えていった」と話す。

 直美さんも「夫の仕事をいつか手伝うかもしれない」と考え、ヘルパーの資格を取得。「介護の仕事をするとは思っていなかったが、資格を取っただけではもったいないのでグループホームで働いた」と直美さんは話す。起業後3年ほどで誠さんだけでは対応が追いつかなくなり、直美さんも介護タクシーの事業に加わった。「グループホームで働いた経験が、介護タクシーの仕事の中で生かされている。当時一緒に働いていたスタッフが埼玉県内の別の施設でケアマネになっていて、お客さまを紹介してもらうこともある」とも。

 直美さんは「私たちのお客さまは病気や障害のある人が多く、体調もさまざま。楽しいお出かけでない方もいるので、慎重に様子をうかがって接するようにしている。県内にいろいろな介護タクシーがある中、縁があって選んでもらっているので、ご縁を大切にしたい」と話す。

 誠さんは「妻と2人で対応していても、どうしても断らなければならないことがあるのが悩みどころ。いつか私たちが廃業したら、お客さまの移動手段がなくなってしまうので、『いずれは自分で開業したい』という人からの相談も受けているし、スタッフを募り法人化していくのが目標」と力を込める。

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