ちちぶ銘仙館(秩父市熊木町)内のギャラリーで4月18日、春の企画展「叙情のメイセン展 叙情画家と銘仙キモノの世界」が始まった。明治から大正期にかけて女性たちを魅了した「叙情画」と同時代の銘仙を対置し、当時の感性を立体的に紹介する。
企画したのは、同市地域おこし協力隊の篠原順一さん。協力隊として同館内外で行ってきた企画は、今回で29回目。篠原さんは「日本における『かわいい』という感性の形成に大きく寄与した竹久夢二ら叙情画家の美意識に着目した。同時代に女性の日常を彩った銘仙と並べることで、当時の空気を捉え直したい」と話す。
会場では、竹久夢二、高畠華宵(かしょう)、中原淳一ら叙情画家7人の作品世界をイメージし、アンティーク銘仙と小物を合わせたコーディネートを展示する。篠原さんは「叙情画と銘仙に直接的な因果関係はないが、いずれも同時代の女性に支持された並行的な存在。内面の憧れを可視化したのが叙情画であり、日常の装いとして体現したのが銘仙だった」と分析する。
展示を通じて、「着物を実際に着て楽しむ」ことへの一歩を促す。自由度の高い銘仙は、帯や半襟、帯揚げなどの組み合わせで個性が表れるのが魅力だという。篠原さんは「着物は飾るものではなく、身にまとうことで魅力を味わえる衣装。入り口として適した銘仙で、新たな発見をしてほしい」と呼びかける。
かつて一大産業だった銘仙は現在、産業として生産が続いているのは秩父のみとなった。篠原さんは「他産地からは、今も織り続けていることがうらやましいと言われる。銘仙を過去の遺産ではなく『今も息づく文化』として再認識してほしい」と話す。
開催時間は9時~16時。入館料は、一般=210円、小・中学生=100円。5月6日まで。