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横瀬町・寺坂棚田で川口の中学生163人が稲刈り 農家へ感謝伝える

生徒は3人1組になって作業を行った

生徒は3人1組になって作業を行った

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 横瀬町の寺坂棚田(横瀬町横瀬)で9月12日、川口市立上青木中学校の1年生163人(5クラスと特別支援学級)が稲刈り体験を行った。生徒たちは6月に田植えを行い、成長した稲を自ら刈り取った。

当日は「横瀬町田んぼの会」を中心に生徒たちと作業した

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 同校が寺坂棚田で田植え・稲刈り体験を行うのは今年が初めて。学校周辺には田畑がなく、生徒が土や農業に触れる機会は少ないという。生徒たちは6月の田植えの準備段階から授業を通じて米や食について学んできた。その成果として、給食の残量が従来よりも少なくなり、米もパンも残さず食べるようになったという。

 現地では「横瀬町田んぼの会」のメンバーが草むしりなどの作業を行い、稲の生育を支えてきた。体験は旅行会社を通じて秩父地域おもてなし観光公社が紹介して実現した。秩父地域では寺坂棚田のほか、秩父市吉田や蒔田、太田などでも同様の体験を受け入れている。

 当日は同校からバス5台で現地を訪れ、生徒たちの司会・進行で到着式を行った。会では富田能成町長のあいさつや同会による稲刈りの説明も行われた。棚田に移動する頃には小雨が降り始めたが、生徒たちは3人1組になって約1800平方メートルの田んぼで鎌を持って稲を刈り取った。刈り取った稲は精米し、秩父おもてなし観光公社を通じて後日、学校に1人300グラムずつ届ける予定。

 田んぼでは獣害の話題も出た。今年は棚田にイノシシが入り込み、泥浴びによって稲穂が荒らされる被害もあった。対策として14カ所にわなを仕かけ、シカ4頭がわなにかかったが、イノシシには逃げられたことなども田んぼで生徒たちに伝えた。

 稲刈りの後、生徒たちは感謝の会を開いた。「ありがとうの歌」や校歌を合唱し、群読の形で感謝を表現した。題材となったのは「一粒の米には7人の神様がいる」という考え方。水、土、太陽、雲、風、虫、作り手の「7つの神様」の存在を挙げ、それぞれが稲作に欠かせない要素であることと感謝を伝えた。生徒は一人ずつ言葉をつなぎ、同会や関係者に感謝の気持ちを届けた。

 体験後には、地域商社「ENgaWA(エンガワ)」のメンバーが用意した塩むすびを生徒一人一人に手渡した。別の日に収穫した棚田の米を炊き、型で整形してラップを使って手で握って仕上げたもので、生徒たちは弁当と共に帰りのバス車内で頬張った。

 同会の若林さんは「生徒たちはよく頑張った。普段と違う慣れない作業で、田植えの時と同様に小雨だったので、農業の大変さを少し知ってもらえたと思う。自然の中では天候は選べないし、いつも晴天とは限らない。いい経験になっていれば。今後も白米をおいしく食べて、この日のことを思い出してもらえたら」と期待を込める。

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