
横瀬町と西武鉄道(所沢市)が9月2日、まちづくりに関する包括連携協定を締結した。協定期間は同町の「第6次総合振興計画」の期間と合わせ、2028年3月末まで。同社はこれまで、飯能市とはムーミンバレーパークを含む3者協定、所沢市とはグループ会社を交えた多者協定を結んできたが、自治体と2者間による包括協定は今回が初めてとなる。
同町では10年にわたって、官民連携プラットフォーム「よこらぼ」の設立や、地域おこし協力隊や集落支援員などの積極的な受け入れ、拠点施設「エリア898」開設、地域商社「ENgaWA」設立など、さまざまな地域づくりを進めてきた。これまでも同社とは、芦ヶ久保の氷柱や寺坂棚田のホタルかがり火まつり、彼岸花まつり、よこぜまつり、台湾祭々などを通じ、都心からの誘客を中心に連携してきた。
町内には同社の大規模な車両基地があり、過去に使われていたさまざまな車両が保管されている。鉄道を生かした企画として「車両基地酒場」や「横瀬町大同窓会」などの取り組みも重ねてきた。富田能成町長は「今まで西武鉄道と連携して積み重ねてきたことを土台に『機が熟した』と判断し、今回の協定締結に至った」と振り返る。
協定では、自然環境や景観の保全と活用、横瀬駅・芦ヶ久保駅を中心としたにぎわいづくり、地域や沿線の活性化・持続的発展、さまざまなチャレンジの共創による「日本一チャレンジできる価値・基盤」づくりなどを連携事項として掲げる。
富田町長は「横瀬町は沿線で最も小さな自治体。小回りが利くからこそ、一番早く動かなければならないと自覚している。『中心地づくり・にぎわいづくり』『産業づくり・雇用づくり』など、まちの将来に向けたチャレンジを進めていきたい。これまで町ではソフト面の整備から取り組んできたが、今後はハードの整備も含めて動き出す段階にある。町単独では難しい部分には、西武鉄道の力や知恵を借りて共に前に進んでいきたい」と話す。
西武鉄道の小川周一郎社長は「横瀬町の『日本一チャレンジできる町』という取り組みに深く共感している。横瀬町は定住促進と観光活性の両面で意欲的に取り組んでおり、長期的な視点で共に価値を創り出せると感じている。秩父エリア全体を見ても、観光拠点としてインバウンドを含む新たな取り組みを進めていきたい。協定を形式にとどめず、スピード感を持って今後につなげていけたら」と意欲を見せる。