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「秩父昭和100年プロジェクト」 パリー食堂が中心となり地元盛り上げへ

(右から)3代目川邉義友さん・4代目川邉晃希さん

(右から)3代目川邉義友さん・4代目川邉晃希さん

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 秩父の老舗飲食店「パリー食堂」(秩父市番場町)が中心となり現在、地元有志による「秩父昭和100年プロジェクト」を進めている。昭和の「懐かしさ」を通じ、観光誘致と地域の結束を目指す。

開店当初の「パリー食堂」写真

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 発案したのは1927(昭和2)年創業の「パリー食堂」4代目・川邉晃希さん。同店は2004(平成16)年に国の登録有形文化財に指定されている。川邉さんは18歳で東京の香川調理専門学校に進学し、19歳から赤坂の中華料理店「維新號」で約10年間、経験を積んだ。店の存続危機を知り、「家業を継ぐことは地域の記憶を未来へつなぐこと」との思いで2018(平成30)年に秩父に戻り、店の再建に乗り出した。「埼玉県の文化的な観光地として有名な川越のように、文化財を活用して地域活性化を目指したい」と川邉さんは話す。

 2025年は昭和元年から100年の節目となる。プロジェクトでは昭和時代の「建物や文化」「人々の営み」に着目し、今あるものを磨き直して商品やサービスに再生する。「地元にあるもの」にも目を向け、地域内で支え合う仕組みづくりを進める。各事業者が「自店・顧客・地域の三方よし」を基準に、独自企画を行う。

 パリー食堂では11月14日の「埼玉県民の日」に合わせて、既存メニューを組み合わせた昭和風のセットメニューを提供する予定。9月から女子栄養大学平口ゼミの学生と共に、昭和をテーマにしたメニュー開発を進めていく。

 一方、創業100周年を迎える2027年に向けては、開店当初に提供していた「パリーランチ」の再現にも取り組む。メニューやレシピなどの記録が残っていないため、当時の写真や常連客や近隣住民の話、親族の口伝などを手がかりに再現に臨む。川邉さんは「料理人としての勘や現在の技術を生かし、単なる復刻ではなく 『記憶の味を形にする』作業として、一つ一つ丁寧に再構築していく予定。パリーの100周年を記念するメニューにもしていきたい」と意気込む。

 プロジェクトには「秩父湯元 武甲温泉」(横瀬町横瀬)などの地域事業者も参加予定で、趣旨に賛同する事業者を引き続き募集している。川邉さんは「秩父を良くしたいという思いがあれば、個人でも参加できる。『この指止まれ』の精神で、多くの人と秩父を盛り上げていきたい」と参加を呼びかける。

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