
皆野町は2月5日、町内で捕獲されたシカ肉を使った「皆野町産鹿肉のキーマカレー」を町立の幼稚園、小・中学校で「ジビエ給食」として提供した。学校給食におけるジビエの活用は県内初の取り組み。
黒澤町長、長島副町長、シカ肉を提供した岡野さんが生徒と一緒に給食時間を楽しんだ
同町では以前から、シカやイノシシなど野生鳥獣による農作物被害が地域課題とされている。昨年、町内にジビエ加工場「皆野ジビエ加工場」(皆野町下田野)が稼働し始めたことから、「農作物被害対策や地元産のおいしいジビエ料理の普及」を目的に、学校給食へのジビエ活用が決まった。
給食センターの職員が、シカ肉と豚肉1対1の合いびき肉を使うカレーのレシピを考案。ジビエ独特の臭みを消すためショウガとニンニクを入れ、隠し味に同町の「新井武平商店」のみそやしょうゆを加えて、食べやすい味に仕上げたという。昨年10月から1月中旬まで数回にわたって試食会を行い、保護者の理解を得て、このほど給食メニューに加わることになった。
当日、皆野小学校1年1組の児童と一緒にジビエカレーを食べた黒澤栄則町長は「シカ肉は栄養価が高い。自然の恵みとして循環しながら、子どもたちの健康な体作りに生かしていきたい」、同校の池田尚末教諭は「味がおいしいし、肉を細かくしてあるので、普通のカレーの時よりも児童たちの食べ進みが早い」と、それぞれ話した。
シカ肉を提供しているのは「Bonpu(ボンプ)」(皆野)で、地元産のシカ肉を同工場で加工したソーセージ、シチュー、パテドカンパーニュ、リエットなどを製造・販売している。週末には、キッチンカーでシカ肉を使ったジビエバーガーを販売する。当日同席した同社代表の岡野直樹さんは「ヨーロッパでは、ジビエは高級食材。以前から地元の子どもにおいしいジビエ料理を食べてほしいという思いがあった。児童の反応が心配だったが、おいしそうに食べてくれてうれしい」と話す。
同町では年内に1~2回、カレー以外のジビエ給食を提供する予定。