秩父の「ただかね農園」(秩父市下吉田)の「大地のいちご・あまりん」が、3月1日に発売された洋菓子店「コロンバン」(東京都渋谷区)の「100周年記念ロワイヤルショートケーキ」に採用された。
コロンバンは1924(大正13)年3月1日に東京・大森で創業。ショートケーキは同社の創業者が考案したとされる、日本生まれのケーキ。同社が100周年を迎え、記念のショートケーキに「際立つ甘さと華やかな香りが味わえる」と同農園のイチゴ「あまりん」が選ばれた。
同農園の高野宏昭社長は25歳でイチゴ栽培を始め、間もなく50歳を迎える。同園から出る有機ごみをはじめ、近所のワイナリーや農家からも良質の有機ごみを集めて堆肥にし、イチゴの生産に再利用している。畑へ返すだけでなく、地域の有機ごみの削減になり、でき上がった堆肥は「ワイン堆肥」として、提供者へ還元するなどの取り組みも行っている。
高野社長は「今まで続けてきた農業とは何かを言葉にして発信することを心がけている」と話す。3つのことを大切にしており「再生やリサイクルで、有機ごみからおいしい作物ができること」「社会貢献・資源循環型農業のこと」「生物多様性の確保。微生物や菌類と一緒に生きた畑を作る大切さを伝えていくこと」だという。
「コロンバンと取引が始まった2022年1月当初は、コロンバンの歴史や実績をよく知らなかった。改めて調べてみて、有名な大手老舗洋菓子店なのだと気付いた。『迷惑をかけたらどうしよう。自分は田舎者だけど、ちゃんと付き合ってくれるのだろうか』などの気持ちがあった。そんな私にコロンバンのスタッフから『山間地の厳しい環境で頑張っている農家と一緒に仕事をしたい。応援したい』と言われ、やってみようという気持ちになった」と振り返る。
「今回の採用の連絡を受け、とても光栄に思うが『本当に私でいいのか』という思いもある。イチゴ栽培しかできない自分だが、頑張り続けてきた成果と信じ、素直に喜びたい。うれしい」とも。
ショートケーキはコロンバン原宿、京王新宿サロン、池袋東武店、アトレ松戸店、イオン幕張新都心店で販売する。価格は2,484円。5月末ごろまで。