横瀬町の地域商社「ENgaWA」(横瀬町横瀬)が9月30日、ブドウを使ったスイーツ「湯あがりミルクチーズケーキ工房 ふろまあじゅ ぶどう味」を発売した。同商品は「温泉道場」(比企郡ときがわ町玉川)が手がける埼玉県産の食材を使ったスイーツ「ふろまあじゅ」とのコラボレーション商品。
「湯あがりミルクチーズケーキ工房 ふろまあじゅ ぶどう味」巨峰カラーの包みが目印
同商品に使われているブドウは、耕作放棄地になりかけていたブドウ畑を復活させて収穫したもの。横瀬町は2021年、温泉道場と「地方創生及び地域ブランドづくりに関する包括連携協定」を締結しており、その一環で同商品を開発した。
ブドウやイチゴを扱う琴平農園(芦ヶ久保)の赤岩時夫さんは、けがをしたことや85歳になったことなどから「区切りをつけてブドウ畑を地主に返却しようと思っていた」という。3月ごろ、ENgaWAのメンバーが「ブドウを自分たちで栽培できないだろうか」と時夫さんの協力を仰ぎながら有志のメンバーと共にブドウの栽培を学び始めた。
ENgaWAの赤岩亮輔さんは「時夫さんにアドバイスをもらいながら、枝の剪定(せんてい)やブドウの房作り、消毒など、一連の作業をやっていった。言われた通りにやっているつもりでも、恐々と作業しているせいか、経験や感覚的なことが分からず、とても難しかった」と振り返る。「思っている以上に手がかかる作業が多いことにも驚いた」とも。
栽培したブドウは「孫世代が、まごころこめた『まごぶどう』」の商品名で「道の駅果樹公園あしがくぼ」でも販売した。亮輔さんは「時夫さんのおかげで2300房ほどのブドウができたが、良いのは半分くらい。見栄えが良いものは道の駅でも販売できたがとても少なかった」と話す。
「加工用であれば、形の良くないものや小さなものも使えるのでは」とのアイデアから、ENgaWAが運営する「チャレンジキッチンENgaWA」のメニューにも使った。ぶどうミルク、ぶどうシャーベットサワー、ぶどうカナッペなどとして提供したほか、ブドウをドライフルーツにして「ごろごろグラノーラ」としても販売した。
亮輔さんは「ブドウの栽培から始めてみて、ブドウのまま販売するのか、加工して飲食店で提供するのか、土産品にするのかなど、でき上がったフルーツの販売の難しさも学んだ。温泉道場とのコラボのおかげで横瀬町のブドウがより多くの人に知ってもらうきっかけになってうれしい。今後は商品販売やブドウ狩り以外にも、栽培体験などENgaWAならではの取り組みも検討したい」と意欲を見せる。
価格は450円。横瀬駅に隣接する「駅前食堂」や「チャレンジキッチンENgaWA」「道の駅果樹公園あしがくぼ」などの横瀬町の店舗と、埼玉県内で温泉道場が運営する温浴施設6店舗で販売する。