移動販売車「うえたん号」が9月1日、ウエルシア秩父横瀬店(横瀬町横瀬)で出発式を行い、営業をスタートした。
平日は、1日に横瀬町内で9カ所、1週間で45カ所を巡行して営業する。経営するウエルシア薬局(東京都中央区)は全国に218店があり、秩父地域では6店が営業している。移動販売事業では全国で4番目、秩父地域では長瀞町に続き2番目の導入となる。
うえたん号では、健康食品や日用品や衛生用品のほか、冷蔵庫と冷凍庫を車内に装備しているため弁当や和洋菓子・冷凍食品なども取り扱い、第1類医薬品や一般薬品なども事前に注文すれば購入できる。品数は500~600。ポイントの付与やキャッシュレス決済も可能で、公共料金支払いなど実店舗と変わらない価格やサービスで営業する。
車両外観は町の公式キャラクター「ブコーさん」と同社キャラクターの「うえたん」をラッピングし、車内にはモニターも設置。オンラインで薬剤師と相談のうえ医薬品を販売したり、ビューティーアドバイザーや管理栄養士などとオンラインで会話することもできる。
町長との懇談「町の声を聴く」において、移動販売社に近くに来てほしいという要望が多く、町議会や区長会や民生委員などの協力を得て、町内の公会堂や札所、デイサービス事業所などを選定した。停留場所や走行ルートなどは、半年ほど様子を見てから修正を加えていくという。
横瀬町は2016(平成28)年9月から、官民連携プラットフォーム「よこらぼ」を実施しており、「提案者」「町民」「町」の3者それぞれにメリットがあるプロジェクトとして226件の提案を受け、うち133件を採択してきた。富田能成町長は「よこらぼで7年間官民連携を積み上げてきた経験値がベースにあり、今回は、町の職員が声を上げて、この企画は始まった。現場からこうした意見が出てきて実現したことがうれしい」と話す。
福祉介護課の加藤美智子さんは「昨年参加した生活支援体制整備事業の研修会で、高齢者を支える地域づくりを学ぶ中で、『横瀬町に移動販売車が必要』と感じた」と振り返る。
買い物に行くのが困難な高齢者や障がい者、子育て世代などのために、自宅の近くまで店が出向いて買い物をしてもらう取り組みを実現するため、今年4月から「横瀬町移動スーパー参入促進事業者」を募集し、同社に決定した。
富田町長は「自身で運転したり、町で運営するデマンドタクシーを利用して買い物に行ったりする人、ネットやカタログ通販や宅配サービスを活用する人もいる。その選択肢の中に移動販売車が入ることで、買い物がしやすくなる人が増えれば。うえたん号が毎週決まった時間に来ることで、出かけたり体を動かしたりするきっかけになり、地域の新たな交流の場になってくれたら」と期待を寄せる。
営業は月曜~金曜の10時~16時。停留場所により、滞在時間は異なる。