秩父の宿泊施設「町住客室(まちじゅうきゃくしつ)秩父宿」(上野町)が7月6日、公衆浴場の営業を始め、宿泊客以外でも風呂やサウナなどの温浴施設「むすびの湯」の日帰り利用が可能になった。
「町住客室 秩父宿」は2020年にスタートし、「和空間 多豆(たず)」(道生町)、「箱庭 猿楽庵(さるがくあん)」(上宮地町)を運営。今年4月には「桐の匠 吉(きち)」(上野町)も営業を始めた。いずれの施設も空き家となった古民家を改装して営業している。
「むすびの湯」は「桐の匠 吉」に併設する温浴施設。客室は3部屋あり、洋室と和室の2つのリビングがある「桐」、信楽焼の浴槽と2階に寝室を設ける「匠」、リビング・洗面所・浴室までフラットに設計されている「吉」。
支配人の染谷陽介さんは「もともとこの施設はたんす職人の新井定吉さんの家だった。定吉さんの名前から『吉』という文字を施設の名称としてもらった。定吉さんのたんすだけでなく、組子細工などの作品も飾っている。たんすの引き出しの裏側に書かれた手書きのメッセージを、あえて見せて置いている部屋もある。ベッドスローは着物愛好家の方から帯を譲っていただいたものを活用し、施設の和の雰囲気に合うようにしている」と染谷さんは話す。
個室サウナ付きの貸し切り風呂は「からりの湯」(ドライサウナ)と「しっとりの湯」(ミストサウナ)の2種類を用意。6時30分~10時はサウナなしで風呂のみを500円で利用可能。15時~22時は完全予約制で、1コマ45分~で、4人まで利用可能。料金は、平日=1組3,300円、休日=同3,900円。
施設内にある「むすびの湯Cafe」では、おむすび・煮卵・ざんぎ(唐揚げ)・おばんざい・みそ汁のセット(500円)や、紅茶(200円)やコーヒー(400円)などを提供し、テイクアウトにも応じる。カフェの営業時間は、モーニング=7時~10時、ランチ=12時~14時。
夜は「お茶漬けバー」として20時~23時に営業。お茶漬けおむすびにだしをかけて食べるだし茶漬けのスタイル(500円)で「多豆」で採取した梅を作った自家製の梅酒(500円)やウイスキーイチローズモルト(800円)などのアルコールも提供する。
染谷さんは「宿泊施設がオープンして2カ月半ほどがたち、施設として集まれる場所の準備もできた。宿泊者だけでなく近所の人が、おばんざいやおむすびを買いに来て『常連さん』と店のスタッフや宿泊客との交流が生まれてきている。住宅街にある施設なので集いの場としても活用してほしい」と利用を呼びかける。
経営する「パラリゾートちちぶ」(大野原)の出浦洋介社長は「むすびの湯は宿泊客のみの利用だったので、『日帰りはいつになったら使えるようになるのか』と問い合わせをもらっていた。秩父は日帰りの観光も多いので、立ち寄ってもらったり、近隣の人にも気軽に使ってもらったりできれば」と話す。