秩父地域おもてなし観光公社(秩父市熊木町)が女子栄養大学(坂戸市千代田)食文化栄養学科の学生と協力して秩父の特産物を使ったパウンドケーキを開発し、1月31日、販売を始めた。昨年も同様のコラボで地元特産物を使ったチーズケーキを開発しており、今年が2年目となる。
今回発表したのは「CHICHIBLOCK pound cake(チチブロック パウンドケーキ)」。3センチ四方ほどの小さな9種のパウンドケーキを詰め合わせたもので、みそとチーズ、黄金カボスと蜂蜜酒、エゴマとしゃくし菜など複数の食材を組み合わせている。使っている秩父の食材は12種類。
秩父地域おもてなし観光公社の笠原祐里さんは「秩父地域にはさまざまな食材があるが、一つの土産でたくさんの食材が楽しめるものがあればいいなと思っていた。今回のスイーツを作るうえで、地元食材のPRだけでなく、生産者同士の交流のきっかけになる場面もあり、感謝している」と話す。
メニュー開発をした女子栄養大学食文化栄養学科4年の長坂さんは平口ゼミ所属。ゼミのテーマが「地域振興」で、長坂さんは卒業研究として「地域食材×菓子」に着目して開発を行った。構想から1年ほどかけて完成となった。
「秩父を選んだきっかけは先輩からチーズケーキを開発した話や、秩父の黄金カボスの話を聞いたことから。パウンドケーキを選んだのは食材の味のアレンジがしやすく、食材の魅力を引き出しやすいから」だという。
長坂さんが初めて秩父を訪れたのは2022年4月。「以前から観光地として有名なのは知っていたが、少し距離があるので来たことはなかった。いざ来てみると、思っていたよりも近く、さらに料理もおいしく、自然豊かでレトロな建物の雰囲気にも引かれた」とも。
菓子製造は菓子店「亀沢屋」(皆野町皆野)とパン店「ラパンノワールくろうさぎ」(秩父市野坂町)が協力して行っている。「試作段階では味の種類も少なかったが、秩父の店の皆さんと制作を進めていく上でアイデアを頂き、種類を増やすことができた。他にも家族や友人に試食などを協力してもらい、実際に完成した時には一緒に喜んでくれた」と長坂さんは振り返る。
「パウンドケーキは作ると色が同系統になりがちなので、味によって見た目に差をつけるのは苦労した。一番勉強になったのは生産者に話を聞いたこと。生産者の食材は熱意をもって作っても料理になる時には食材自体がPRされることは少なく、商品をきっかけに少しでも食材のPRになる機会がもっと増えれば。全ての生産者を回れた訳ではないが、直接聞くことができたので、とても参考になった」とも。
長坂さんは「秩父に観光に来て、土産として買ってほしい。商品の中には実際に使った秩父地域の食材の簡単な地図も入っているので、食材のことを知るきっかけになれば。この商品を目当てに秩父に足を運んでもらえたら」と期待を込める。
価格は1,500円。商品の賞味期限は1カ月。じばさん商店(宮側町)で扱う。営業時間は10時~19時。
小池カフェ(番場町)では9種のうちの3種を月替わりで、クリームを添えて500円で提供する。営業は土曜・日曜・祝日の11時~15時30分。