小鹿野町の「おがの薬局」(小鹿野町小鹿野、TEL 0494-72-7377)が8月21日、薬剤師と管理栄養士がキッチンカーで地域に出向き「住民に寄り添った健康相談や薬・栄養の相談などを行う活動」を始めた。医療機関が少なく交通手段に乏しい地域住民に「健康サポートサービスを提供すること」を目的とした取り組み。
おがの薬局の管理薬剤師・町田一美さんは「『薬局がなく、バスが1日数本しかない地域の健康サポートとして何かできないか』と考えていた。コロナ禍で、家にこもって一日中誰とも話さない高齢者もいる。不安が強くなり、そこから認知症が進んだり薬が増えてしまう人や、外出が減り筋力が落ちたりするケースもある。テレビの情報だけを信じやすく、情報に偏りが出ているとも感じていた。何か良い方法はないかと考えキッチンカーに目をつけた」と話す。「キッチンカーだと、食べ物や飲み物をきっかけに話しやすく、物珍しさで外出しやすいことや、屋外のため感染症対策が行いやすく、私たちをより身近に感じてもらえるなどの利点があると考えた」とも。
メニューの野菜や果物を使ったスムージー、パイ生地のワッフル、水の代わりに豆腐で練り上げた団子などは、管理栄養士の強矢和子さんが手がける。キッチンカーの窓にはメニューと共に成分表示も掲げる。「どんなものが体の中に入っていくか、どういう効能があるかも見て選んでもらえるのが特長」と話す。
小鹿野町社会福祉協議会の加藤千春さんは「住民に地域の集会所などで介護予防の体操やレクリエーション、健康講話などの『いきいきサロン』を行っている。地域の高齢者がコロナ禍で元気をなくしていく姿に胸を痛めていた。少しでも笑顔になってもらいたい。ゆるやかに繋がれるキッチンカーの活動に共感した。地域の皆さんと一緒に楽しみたい」と話す。
キッチンカーは今後、サロンの場に出向く他、道の駅などでも出店予定。町田さんは「気軽にちょっと話すだけでも立ち寄ってほしい。希望があれば小鹿野町外でも出向く」と笑顔を見せる。