皆野町に木彫り作品を制作する工房「ちちぶ工藝舎」(皆野町三沢、TEL 070-1073-4602)が開業して3カ月が経った。秩父地域の木材を材料に、チェーンソーを使って犬やフクロウなどの動物をメインに彫刻する。
同社代表の根津貴展さんは新潟県出身で、測量の仕事をしながら2019年9月まで、さいたま市に住んでいた。両親を嵐山町に樹木葬で納骨したこともあり、秩父までドライブでよく訪れていたという。「離婚や離職などをきっかけに、どこか良い拠点はないかと探していたところ、景色の良い一軒家を見つけて移住を決めた」と根津さんは当時を振り返る。
移住後、10カ月をかけて自宅周辺の雑木林を手入れしたり、屋根や外壁を直したり、内装を塗り替えたりした。木を伐採するためにチェーンソーを購入して使っていたが、作業が落ち着いた2020年8月ごろ、「伐採した木が熊に見えたので試しに作品を作ったところ、うまくできた。面白くなって作品を作り続けた」と話す。
チェーンソーアートを知ったきっかけは、タレントの清水国明さんがテレビでやっているのを見たこと。20~30年前に見た記憶があり、「いつかやってみたい」と思っていたという。「作った作品を家の前に置いていたら、ガスの集金や散歩に来る人から『欲しい。これなら売れるのでは』と言われたのがきっかけで、開業に至った」とも。
イメージをデッサンしてから3台のチェーンソーを使い分けて丸太を削り、研磨器で細かい作業を行い、塗装して完成する。サイズは40センチ~110センチ程度で、床に置くオブジェや壁に飾るもの、ベンチの柱や看板などとして仕上げることもできるという。
「ペットが居なくなって寂しい思いをしている人に、心のよりどころになるような作品を作れたら」と意気込みを見せる。
作品は「道の駅みなの」(皆野)入り口に展示されており、同所で一部販売も行う。その他、秩父地域地場産業振興センターが運営するサイト「森のおくりもの」や自社のインスタグラムでも公開。インスタグラムを通じてオーダーメイドも受け付ける。価格はサイズによって3万円~6万円程度。