秩父市上町にある押堀川水辺広場で6月1日、ホタルの鑑賞が始まった。西武秩父駅から徒歩約20分、秩父第二中学校の脇を通ると見える同広場では12年前から、「上町ホタルの会」のメンバーがホタルのすめる環境整備を行っている。今では1度に100匹以上のホタルの飛ぶ姿が観察できるという。
同会の落合武治さんは「環境整備を始めてみたら、ホタルのふ化の瞬間などに立ち会えるのが面白く、どんどん引かれていった。ゲンジボタルとヘイケホタルが見られるが、ヘイケの方が種として強いので、ゲンジもヘイケも一緒に暮らせるように環境を調整している」と話す。
今では極端な環境の変化などがなければ、必要以上に手を加えなくてもホタルが自生できるほど環境が整えてられてきているという。「60年くらい前は秩父だとホタルはどこでも見られていた。ホタルは餌となるカワニナやタニシなどが育つ環境を用意することが大切で、環境さえ整えることができればホタルは増える」とも。
落合さんは今年で80歳になる。現在は落合さんを中心に環境整備を行っているが、少しでも長く続けていければと、ボランティアで参加する人にも環境整備の方法を教えている。「私自身も好きでやっており、一銭にもならないことなので難しいが、可能な範囲で付き合ってもらえれば。手伝っていただいたおかげで、今年は鑑賞できる場所を例年よりも少し拡大することができた」と話す。
ホタルの見頃は20時~21時ごろで、気温が16度を下回ると飛ぶホタルの数は少なくなるが、多少の雨や風であれば問題はないという。
「今ではホタルが見られる場所も減っているので、日本全国から多くの方が足を運んでくださっていて、感動して涙を流す人やホタルを見に来て結婚された方もいる。ホタルを通していろいろな方が喜んでくれる姿を見ると自分たちもうれしくなる。多くの人たちに自然の恵みに触れてもらえれば」と呼びかける。
入場料、駐車場代は無料だが、寄付金の協力を呼びかけている。期間中は秩父図書館駐車場と金仙寺駐車場が利用可能。今月30日まで。