コロナ禍で2年ほど休業していた奥秩父のそば店「自家製粉手打ち蕎麦(そば) あづまや園」(秩父市荒川日野、TEL 0494-54-2818)が昨年11月に営業を再開し、新たな取り組みとして冷凍そばの販売を始めて4カ月がたった。
店主の町田裕孝さんは東京・蒲田にある「初音鮨(ずし)」の社長でもある。2年間の休業中に、町田さんの父である前店主の町田久雄さんが他界し、長男の裕孝さんが同店を引き継ぎ帰郷した。
新たに法人を立ち上げたがコロナ禍に伴う補助金は法人で新規扱いされることで給付されず、飲食店向けの協力支援金は営業時間が対象外で受けられなかったという。
町田さんは「厳しい状況で店を再開せざるをえなかった。冬場で客足が遠のいて、売り上げがグンと落ちていたが、冷凍そばを思いつき、12月初旬、オンライン販売を始めた。販売に向けて、そばの配合、水の量、冷凍の方法などで試行錯誤を繰り返した」と話す。
都内近郊の飲食店から受注するようになったのは1月後半からで、東京・半蔵門「鮨みずかみ」からは月1回、年間購入の注文が入っている。きっかけは同店の冷凍そばを常連客からの贈り物としてもらったことだったという。鮨みずかみの店主は「風味が良く、おいしい。昼食や夕食の時間がしっかり取れない時に、解凍後1分でゆで上がり、すぐに食べられるのも良い」と話す。その他、フレンチレストランなどからも注文が入っているという。
「厳しい時に食のプロが購入してくれたことで、うちは救われた。感謝の気持ちでいっぱい。4月で冷凍そばを販売し始めてから4カ月がたち、売上回復になっている」と町田さんは話す。
地元秩父産の「挽(ひ)きぐるみ」(そばの殻ごとひいた粉で、少し細かい殻が含まれ、そば本来の風味を感じることができる)の粉を使って手打ち後、独自の急速冷凍で仕上げる。そばをひき、そば粉にした日と手打ちした日を添えて発送する。
「使っているそばの実は真言宗無量山西光寺での護摩祈とうを受けた霊験あらたかなもの。保存料などの添加物は使っていないシンプルな素材のみで作っている。そばを食べて健康になってほしい」とも。
開運蕎麦の価格は、12食分=7,200円、8食分=4,800円、4食分=2,400円(各食1日5セット限定、つゆ付き)。営業時間は10時30分~15時(売切れ次第閉店)。火曜定休。