「奥秩父源流元気プロジェクト」が2月8日、秩父市大滝の大達原(おおだはら)地区と三峯神社の計5カ所に、大滝地区の魅力を伝える看板を設置した。
「大達原と旧三峰道」看板と中国語翻訳した夏思雅(かしが)さん
同プロジェクト(会長:木村賢一)は、秩父市大滝地区の地域振興を目的として立ち上げられた任意団体。環境省補助事業「国立公園・温泉地等での滞在型ツアー・ワーケーション推進事業費補助金」と「令和3年度国立公園等資源整備事業費補助金」を利用して、国道140号線付近の修景間伐、枝落し、下草刈り、ゴミ拾い作業と登山道の陥没、劣化、椅子やテーブルの設置、トレッキングマップ作成、看板整備などの活動を行った。
看板では、国立公園に位置する大滝地区の歴史に触れながらジオの視点で説明しており、英語と一部中国語翻訳も表記する。「ようこそ、大達原へ」「大達原稲荷神社」「大達原の手掘り隧道」「大達原と旧三峰道」「三峯神社の名の由来」の看板5枚を「秩父まるごとジオパーク秩父推進協議会」の協力で制作し、設置した。国道140号線沿いの「大達原ふれあい交流トイレ」の壁に「大達原と旧三峰道」の説明看板を設置し、大達原地区への案内となっている。
大達原地区についての説明は、旧大滝村最後の村長・山口民弥さんが担当した。旧三峰道沿いに栄えた集落で、平将門由来の大達原稲荷神社や円通寺の跡、江戸時代に設置された高札場も残っている。同神社は山口さんの氏神様で、非常に御利益があると口コミで広がり、一般参拝者がお参りできるように現在の位置に移された。
「大達原の手掘り隧道」看板は、集落の東側にある手掘りのトンネル入り口付近に設置した。秩父帯の石灰岩やチャート帯状に分布した険しいV字谷、谷筋は通行困難で古い街道は尾根を通っていた。明治中期に石灰岩を手で掘って幅3.45メートル、高さ4.8メートル、長さ40.5メートルのトンネルが作られ、「旧三峰道」として三峯神社参拝者でにぎわい、ここには茶店「大島屋」があったが、現在は三峯神社参道で営業している。
三峯神社駐車場の壁には「三峯神社の名の由来」を紹介する看板を設置。地形や地層の特徴や、秩父の地層は西に続き、熊野方面にもつながりがあることを同協議会の吉田さんが説明する。看板内の中国語翻訳を担当した「秩父地域おこし協力隊」の夏思雅(かしが)さんは「難しかったのは『命(みこと)』の翻訳。どのように翻訳すればいいのかを調べたり、吉田さんに相談したりしてようやく翻訳でき、とても勉強になった」と振り返る。
同プロジェクトの立川さんは「旧三峰道は強石(こわいし)から大輪へ続く三峯神社参拝の街道になっていた。今後は歩いて三峯神社へ行けるように旧道の整備などを引き続き進めていきたい」と意気込みを見せる。