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秩父神社で「節分追儺祭」 境内にたくさんの鬼、泣いて笑って厄払い

境内に集まる鬼

境内に集まる鬼

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 秩父神社(秩父市番場町)で2月3日、「節分追儺祭(ついなさい)」が行われた。地域の人たちからは「鬼やらい」と呼ばれ親しまれている。

赤岩さん扮する赤鬼と年男

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 同祭は疫病、厄を追い払う「追儺(ついな)」と呼ばれる儀式のことで、秩父神社では古式にのっとって神事を行っている。神事の中にある勤めとして大幣(おおぬさ)で四方を払う奉幣(ほうべい)の後、豆をまく撒豆(さんとう)をし、矢を放ち魔を滅する引目(ひきめ)を行う。放たれた矢は縁起がいいといわれており、毎年この矢を競って取りに来る人も多い。

 赤鬼・青鬼が一斉に境内に現れると、鬼の舞を披露。裃(かみしも)姿の「年男」と「年女」が縦横無尽に動く鬼に向かって、平成殿2階から豆をまくと鬼は逃げ出していった。神楽殿では大黒舞が舞われ、大黒様が参拝客に供物を配った。

 赤鬼を務めた赤岩さんは「昭和末期、自分が小学生だった頃から『鬼やらい』を見に来ていた。当時は鬼の数も今より少なく、神社に来ると豆がもらえた。弓の奉納で打たれる矢が欲しくて来ていたが、次第に鬼に引かれるようになり、縁あって鬼の奉仕を始めて今年で7年目になる」と話す。「小さいうちに鬼のように怖いものを知っていくというのが大事。子どもはわがままくらいな方がいいが、節分の日くらいは怖さを感じるのも大切なことなのでは」とも。

 鬼も十人十色だが、赤岩さん扮(ふん)する赤鬼は子どもをただ怖がらせるだけではなく「保護者の言うことを聞くように」とアフターフォローも行っているという。鬼を見て「もう悪いことしません~」と泣き出す子どももいれば、必死で泣くのを我慢する子どもなど、さまざまな表情を浮かべる。

 「『悪いことをすると鬼が連れて行っちゃうから、いい子でいるんだよ』と言うと、いい子でいてくれるので毎年連れてきてる」という保護者もいるという。「これも伝統文化の継承の一環になればと思い、自分も楽しみながらもできる限り文化伝承の手伝いができれば」と赤岩さんは話す。

 今年はコロナ禍の開催ではあったが例年同様鬼が集まり、今年は「小鬼」として小学生の参加もあり、境内は供物を受けに来る人や、子どもを連れて鬼に会いに来る人でにぎわった。

 「年男」として参加した秩父市在住の36歳の男性は「来年のことを言えば鬼が笑うといったことわざがあるが、コロナ禍において今年一年、そして来年も笑えれば」と期待を込める。

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