横瀬町の「タテノイト」(横瀬町大字横瀬)は1月15日・16日の2日間、「NAZELAB(ナゼラボ)企画、電子顕微鏡で『見えない世界』を見てみよう」を行った。2日間で3回のイベントを行い、子どもと保護者合わせて約100人が参加した。
タテノイトは「子どもも大人も誰もが持つ『自分らしさ』や可能性を発揮していける環境デザイン」をテーマに、舘野繁彦さんと横瀬町出身の舘野春香さん夫婦が2019年12月から「えほんカフェ」を、翌年4月から認可外保育施設「森のようちえん」を運営している。
2人共、以前は地球惑星科学を専門に研究を行い、東京工業大学・岡山大学・海洋研究開発機構で教員・研究員として勤めていたが、2020年に保育士に転身。「自ら課題を見つけ、誰も見つけていない答えを明らかにする『研究』を通し、学ぶことの楽しさを味わってきた。これまでの経験を生かし、子どもたちを『知りたい』という自発的な学びへ導き、学びの楽しさを子ども達に伝えていきたい」との思いから、研究分野を地球惑星科学から教育へ変え、保育士になったという。
今回のイベントは、タテノイトが日本財団『子ども第三の居場所』の助成事業として、1月より始めたNAZELABの事業の一つ。硬貨や紙幣に隠されたマイクロ文字を肉眼や虫眼鏡、さらに細かい文字を光学顕微鏡で探したり、参加者達の髪の毛の表面のキューティクルを電子顕微鏡で見比べてみたり、鳥の羽やマスクや虫などを観察したりした。
日立ハイテクの協力で一般では滅多に使用できない電子顕微鏡を用意。その他にも倍率の違うレンズをそろえ、虫眼鏡で3.5倍、光学顕微鏡で200倍で観察した後、さらに3万倍まで拡大できる電子顕微鏡で試料を観察した。倍率を上げていくことで、見えなかったものが見えると参加者からは歓声が上がった。
参加した保護者は「知らないことばかりで発見がたくさんあった。自分自身も幼少の頃に、こういった学びの場に参加した良い思い出があるので、これからも続けてもらえるのはうれしい」と話す。
春香さんは「NAZELAB企画は今後も継続的に、なるべく『お膳立て』しないでやっていきたい。時間や人数に制約があると結論を急ぎがちになるが、失敗して試行錯誤を繰り返すことで、学びや発見を自分で見つけてもらい、子どもたちが自分の中から湧き上がってきた『知りたい』という気持ちに寄り添いたい」と話す。
繁彦さんは「保護者が変わると子どもにも大きく影響するので、『親育ちの場』も用意していきたい。保護者が自分らしさを発揮し、子育ての悩みや喜びを共有・共感し合える大人の居場所ができれば」と意気込む。
今回のイベントは「NAZELAB企画」の第3弾目。「なぜ?」「やってみたい」と参加者が思うようなサイエンス関連のワークショップや多様な生き方・仕事をしている人のトークイベントを、月1回を目安に継続して行っていく。
今後は、アドラー心理学をベースにしたコミュニケーションで執筆も行う熊野英一さんを講師に「心配を信頼に変える『勇気づけ子育て』とは?」(2月6日)、東大研究員3人から各分野の最前線を聞く「恐竜!地球!宇宙!東大の研究者に会いに行こう!」(2月13日)などを予定する。