見る・遊ぶ 暮らす・働く 学ぶ・知る

秩父夜祭前に「下郷太鼓ならし」 長胴太鼓を復元し初披露

(写真左)新たに復元・新調した長胴太鼓

(写真左)新たに復元・新調した長胴太鼓

  • 0

  •  

 秩父夜祭を前にした恒例行事「下郷太鼓ならし」が11月25日、大畑町民会館(秩父市大畑町)で行われ、約200人の関係者が参加した。大人から子どもまで町会のそろいのはんてんに身を包んだ姿が見られ、会場には入りきれず屋外から音に耳を傾ける人の姿もあった。

会場には入りきれず屋外から音に耳を傾ける人の姿もあった

[広告]

 下郷は秩父の町名ではなく、夜祭で「下郷笠鉾」を担う地域連合の呼称。滝ノ上、大畑、阿保、柳田、永田、金室の6町会で構成され、秩父夜祭の行事運営を行っている。

 下郷では太鼓の定期練習を月2回行っているが、「太鼓ならし」は本番に向けて仕上げていく。音やリズムの確認だけでなく、太鼓の皮をならし、腕や体の感覚を慣らしていく意味を持つ。笛1人、鉦(かね)1人、小太鼓4人、大太鼓1人の計7人で屋台囃子(ばやし)を演奏する。大太鼓は2~3分ごとにたたき手が交代し、音を途切れさせない体制を取る。夜祭当日は約50人が交代しながら、2日、3日と4日未明まで演奏を続ける。

 今年は、長年使われていた大太鼓の劣化を受け、新たに長胴太鼓を復元・新調した。旧太鼓は1893(明治26)年に購入したもので、4年前に焼き印から太鼓師・石垣孫市作と判明した。5月に制作を依頼し、10月に納品。胴材にはケヤキを使い、皮は牛皮を使っている。大きさは2尺で、胴は手繰り加工とし、音の反響を意識した作りになっている。納品後は定期練習で少しずつたたいてきたが、一般への披露は今回が初となった。

 太鼓ならしが始まると、小太鼓の「テンテケテケテ、テケテケテケテ」という細かなリズムと、大太鼓の「ドコドンドコドン」「ドコドコ」という低く重い音が重なり、会場内外に響いた。関係者のあいさつに続き、今年、下郷笠鉾(かさぼこ)に乗る囃子手(はやして)6人を紹介。それぞれ決意を述べると、会場内外からは「いいぞ」などとの声が上がった。屋台囃子に合わせ、囃子手は扇子を仰ぎ、「ホーリャイ」と囃し立ての練習も行った。

 下郷笠鉾保存会常任相談役の浅見佳久さんは「古い太鼓でも今は何とか打てるが、ひびが入り始めていて、いずれ使えなくなる状況だった。新しい太鼓は胴を手繰り加工で仕上げているので、音がよく響いていると感じる」と話す。

 会場には清野和彦市長も来賓として訪れ、「秩父夜祭には秩父の精神が込められている。世代を超えて心に残る祭りであり、この文化が未来永劫(えいごう)続いていくことを願っている」と話した。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース