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皆野町出身の富田雅人さん・理絵さん夫婦が営む同店。製造業に携わっていた雅人さんと、飲食業の経験がある理絵さんが開業前に夫婦でスクールに通い、開業の準備を進めた。内装は友人のデザインに基づき、親族の手も借りながら自ら塗装を施すなどもしたという。
当初はパスタやキッシュなどのランチや夜のバー営業を行っていたが、コロナ禍による休業期間を機に転機が訪れた。以前から観光客を中心に「かき氷は扱っていないのか」と尋ねられることが多く、2021年にかき氷専門店として営業形態を切り替えた。都内の講習会に参加するなど研究を重ね、エスプーマ(泡状のクリーム)などを取り入れた新しいスタイルのかき氷をメニューにした。
同店のかき氷は「層で味わう」ことをコンセプトに、一皿のかき氷を上・中・下で味や食感が異なる構成にしているのが特徴。上部にはエスプーマなどの泡状のクリームやフルーツのソース、果肉などをトッピングし、中間層にはシロップや果肉、ゼリーなどを挟み込む構成。最下層にも異なるシロップや具材が入ることもあり、食べ進めるごとに味や食感が変化する。氷は一度常温に戻してから削ることで口溶けを良くし、氷の量やシロップの甘さを調整するなど、最後まで飽きずにバランスよく食べられるよう工夫を重ねている。
これまでに手がけたかき氷メニューは60~70種を超える。イチゴやブドウやかんきつ類などのフルーツを中心としたメニューのほか、芋や栗や餅、酒かすやブルーチーズなどを使った創作かき氷、「みそポテト」「ミモザサラダ」「チリコンカン」「デミグラスオムレツ」などの「食事系かき氷」にも挑戦してきた。アイデアが形になるまで1年以上試作を重ねることもあり、メニューは2~3週間のサイクルで入れ替えることが多いという。
雅人さんは「かき氷に切り替えたことで、来店頻度が高いお客さまや、1人で何皿も食べるお客さまもいて、関係がより密になったと感じる場面もある。メニューがイメージ通りに決まると面白いが、失敗の方が多い」、理絵さんは「まだ挑戦したことのないフルーツがあるし、アケビやドラゴンフルーツやポポーなどにも興味がある。食材は季節や個体によって差があるので、その時々でレシピも変えている」と話す。
近年は「かきゴーラー」「ゴーラー」と呼ばれる全国のかき氷ファンが訪れるようになり、来店客から他店の情報を聞くこともあるという。「続けてこられたのは、ジャンティーユのかき氷を求めて訪れてくれるお客さまがいるから。裏切らないように積み重ねていきたい」と雅人さんは話す。
 営業時間は12時~16時30分(ラストオーダー)。火曜・水曜定休(営業日はインスタグラムで知らせる)。