
秩父を代表する写真家・清水武甲が撮影した昭和時代の武甲山の写真展が10月15日、「カフェ&ギャラリー武甲庵」(秩父市熊木町)で始まる。
清水武甲(1913~1995)は秩父市出身。秩父地方を中心に活動した写真家で、写真館を経営しながら1960~1970年代に秩父の伝統芸能、民衆信仰、生活様式、風土などをテーマに数々の写真集を刊行。1937(昭和12)年には全日本写真連盟関東本部写真展文部大臣賞、1966(昭和41)年には国際ビエンナーレ特賞(世界山岳写真展)など数多くの賞を受賞。奥秩父の山々を撮影すると同時に、武甲山の写真を多く撮影してきた。
武甲山は大正時代から石灰岩の採掘が始まり、1970(昭和45)年以降から山容が急激に変容していった。清水が当時会長を務めていた秩父山岳連盟は、「変貌する武甲山の昔日の姿を残そうと、清水会長の資料をいただき(中略)、武甲山の記録として世に送る」と、1976(昭和51)年に写真集「武甲山」を刊行した。
長男の武司さんは「父は生前『昔の武甲山の写真を皆さんの家に飾ってもらいたい』と言い、欲しいと言う人には差し上げていた。父が亡くなって今年で30年。今でも『武甲先生の写真が欲しい』と言われることがある。そこで今回、昭和の時代と同じ技法でバライタ印画紙にプリントをするラボに依頼し、当時のネガを新たにプリントしたものを展示する。希望者には同じ技法でプリントしたものを頒布する。父がやっていたことを受け継ぎ、世話になった人たちへの恩返しになれば」と話す。
同展では、昭和20~50年代のさまざまな武甲山の姿を写した写真22点を展示する。
開館時間は11時~18時(最終日は16時まで)。火曜休館。入館無料。10月19日15時から、清水武司さんによるギャラリートークを行う。12月22日まで。