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横瀬町でフィールドワーク 自然資産と企業の視点かけ合わせ新たな価値探る

フィールドワークの最後に「ナゼラボ」で意見交換や発表を行った

フィールドワークの最後に「ナゼラボ」で意見交換や発表を行った

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 横瀬町で3月17日、町の自然資産と企業の視点をかけ合わせ新たな価値を探るフィールドワークが行われた。

兎沢について説明する横瀬町の田端さん

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 同町と連携しながら「横瀬町の中心地づくり」を検討するTIS(東京都新宿区)とモリジェネ(横浜市神奈川区)が主催し、町内外の企業や団体、横瀬町役場から約20人が参加した。事前に4回にわたるオンラインワークショップを行い、自然資産の活用方法や課題を共有し、それぞれの立場からの関心やアイデアを持ち寄った。

 当日は「オープン&フレンドリースペース Area898(エリア898)」(横瀬町横瀬)併設の「899」でオリエンテーションを実施。参加企業の取り組み紹介に続き、町の地質や地形について、地球惑星科学者で「タテノイト」(横瀬町)代表の舘野繁彦さんや「AIST Solutions」(東京都港区)コーディネート事業本部担当部長の及川隆信さんが専門的な解説を行った。

 横瀬町に海はなく、最高標高は武甲山の1304メートル。その上で、「50平方キロメートル未満の町内に1000メートル以上の高低差がある」という地形的な特徴から、変化に富んだ環境であることについて、参加者の間では驚きや興味深さを示す声が上がった。

 その後、地域木材の地産地消を行う工房「タテラボ」を見学。午後のフィールドでは、町が活用を検討している「兎沢」「ウォーターパーク・シラヤマ」「寺坂棚田」などを巡った。道中、音のAR(拡張現実)を活用した観光ガイドアプリ「きくあるく」や、3次元計測が可能な「OWL(アウル)」、水質センサーによるサンプリングなどを行い、さまざまな企業の技術や視点を通じた体験や計測を行った。

 フィールドワークの最後には「ナゼラボ」(横瀬)で参加者がグループに分かれ、人が自然と気軽に関わり続けられる場づくりや、町民も参加しやすいオープンスペースの可能性について意見を交わした後、発表。参加者からは、高低差を生かした観光やジビエなどを含めた食文化に関する提案、都内からのアクセスの良さを生かした企業研修の場としての森林の活用アイデアなどが挙がった。

 同町まち経営課の田端将伸主幹は「地域外のさまざまな視点から意見が聞けて、新しい気づきが生まれ、とても有意義な時間になった」と振り返る。横瀬町在住でTISの伊藤淳さんは「地域内外を分けず、誰でもふらっと立ち寄れる森のような開かれた空間が欲しい。公園のように日常の延長で人が集まり、そこで自然に触れながらコミュニケーションが生まれる場があれば、町の人にとっても、外から訪れる人にとっても新しい出会いや発見につながる。企業の立場としてだけでなく、町に暮らす一人としても、そんな場所が横瀬にあれば面白いと感じる」と話す。

 モリジェネ代表の吉井拓史さんは「まずは場所を作ってみることが大事。小さな取り組みから発信して、地域の人や都市部の企業の人が『面白そう』と関心を持つきっかけになってほしい。経済や仕組みを動かしやすい企業の人が自然に関心を持ち、組織の中で認知が進んでいけば、やがて大きな動きになる。小さな意識の変化を積み重ね、社会全体へのインパクトにつながれば面白くなる」と話す。

 今後も同様のフィールドワークやワークショップを開催予定。企業や町から出た意見やアイデアを基に、町と企業が連携しながら地域らしい自然との共生を軸とした中心地づくりを進めていく予定。

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