秩父にある24時間フィットネスジム「ビーナイス」(秩父市大畑町、TEL 0494-26-6466)が2月3日で5周年を迎える。
店主の平沼淳史さんは秩父市上町の出身。高校時代はバンド活動に熱中し、大学進学後もギターを続けていた。バンド活動を支えるために始めた訪問介護のアルバイトが、医療や福祉の世界に触れるきっかけとなったという。アルバイトを通じて理学療法士という職業を知り、大学卒業後に専門学校に進学。卒業後は神奈川の大学病院や総合病院で経験を積んだ。
結婚後に地元に戻り、秩父市立病院に6年間勤務。地域の公会堂で住民と運動を行う「地域リハ」の活動を通じ、予防活動の重要性を実感した。地域住民と直接触れ合う中で「病気やけがの前に健康を維持できる環境をつくりたい」と考えるようになり、10年間の理学療法士の経験を生かして同ジムを立ち上げた。
「ビーナイス」のジム名は、平沼さんが青春時代に影響を受けたロックバンド「THE BLUE HEARTS」の楽曲「人にやさしく」に由来する。ロゴデザインは、バンド活動を共にした仲間が手がけた。「キラキラとした展望」に対する願いや思いが込められているという。
2020年5月のオープン間もない時期にコロナ禍の影響で約1カ月半の休業を余儀なくされた。収入が途絶える中、ユーチューブやインスタグラムで運動動画を配信し、LINEでは無料健康相談を受け付けるなど、利用者とのつながりを保つ工夫を続けた。「外出を控えたシニア層の健康維持が心配だった。在宅でできる運動を提案し、運動習慣を失わないよう努めた」と振り返る。
ジムでは理学療法士としての視点を生かし、利用者に合わせたパーソナルトレーニングやプログラムを提供している。姿勢や可動域、筋肉のバランスを細かくチェックし、全身の状態を総合的に把握した上で適切なトレーニングやストレッチを提案する。目的は多岐にわたり、健康維持を目指す人や、腰痛・肩こりの改善を求める人、ボディビル大会への挑戦を目標にする人などさまざま。中でも、60代以上の利用者が多く、全体の30%を占める。
皆野町から通う60代の夫婦は「平沼さんの講習会がとても分かりやすい。会員同士の関わりもできてきて楽しい。夫が体調を崩して退院後に通い始めたが、今後も続けたい」と話す。
スタッフがボディビル大会に出場していたこともあり、2023年には平沼さんも初めて大会に出場し、翌年には埼玉県大会の60キロ以下級で6位入賞を果たした。平沼さんは「短時間で効率的に鍛える方法や、減量中のつらさを経験したことで、会員への指導に説得力が増した。ボディビル仲間が来店してポージング練習会を開くと、シニア層の会員が見学に来るのも面白い」と話す。
「今後は新たなプログラムの導入を検討している。ジュニアアスリートの親向けには栄養セミナーを、スポーツ選手にはけが予防講座を提供できたら。法人向けプログラムとして、福利厚生にフィットネスジムを取り入れる提案も進めていきたい」と意気込む。