成城大学(東京都世田谷区)民俗学研究会の学生が12月21日、2年間かけて行った小鹿野町長若地区を中心に暮らし方や伝承文化などの移り変わりの調査報告会を長若集学校(小鹿野町般若)で行った。
同研究会のメンバーは昨年と今年の夏に3泊4日で合宿を行い、同町長若4区、5区、6区を中心に、暮らしの移り変わり、祭りや小鹿野歌舞伎といった伝承文化などについて町民に聞き取り調査を実施。聞き足りなかったことは、電話や手紙で補充調査を行い報告書をまとめた。2年間で話を聞いた町民の人数は42人。
調査データを「社会生活」「生業」「年中行事」「人生儀礼」「信仰」「民俗芸能」「衣食住」「山と川」「遊び」「方言」の項目に分類し、「Seijo Folklore 2024年大学祭号 埼玉県秩父郡小鹿野町-小鹿野地区(4区津谷木)・長若地区(4区・5区・6区)中心-」として刊行。町民への報告書の贈呈は事前に郵送で行い、当日は各メンバーが調査の概要と共に楽しかった思い出を披露した。
同研究会部長の大沢あみさんは「主な調査エリアに同町の長若4区、5区、6区を選んだ理由は、日本武(ヤマトタケル)神社があったり、歌舞伎に携わっている人がたくさん住んでいたりと、興味深い調査対象が多かったから」と話す。
下調べに東京学芸大学が2006(平成18)年に発行した「小鹿野四区・長若四区の民俗」などの資料を用いたが、「18年前の調査資料には記されているのに、今では行われていない年中行事や信仰などがあった」と大沢さんは振り返る。
調査協力を行った同町教育委員会の山本正実さんは「調査で一番大切なことは、いろいろな経験をしている人や、長く暮らしている人に話を聞くこと。学生たちの努力で、今の小鹿野町を知るのにふさわしい人たちから話を聞くことができた。この報告書は、町の伝承文化や生活の一部を正確に記録した貴重な資料だと思っている」と話す。
同研究会では、さらに加筆と修正を加えて最終版を刊行。来春の発刊を目指す。最終版は小鹿野町立図書館などに寄贈予定。