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横瀬町でグリーンインフラ勉強会 人と自然が共存するエコシステム目指す

「横瀬町グリーンインフラ勉強会」には約70人が参加した

「横瀬町グリーンインフラ勉強会」には約70人が参加した

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 「横瀬町グリーンインフラ勉強会」が10月17日、横瀬町の「Area898」(横瀬町横瀬)で開催され、約70人が参加した。

(左から)高森さん、富田町長、西田さん

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 グリーンインフラとは、道路や河川などの社会資本整備や、民間によるオフィス開発とあわせた緑地の整備やその管理を含む。雨水の貯留・浸透による防災・減災や、生物の生息地の保全など「自然環境が持つ多様な機能」を活用することで「持続可能で魅力的な国土や地域づくりを進める取り組み」を指す。

 横瀬町は、国土交通省が6月に決定した「先導的グリーンインフラモデル形成支援」の重点支援団体として、県内ではさいたま市とともに地方公共団体4地域の1つに選ばれた。今後、重点支援団体はコンサルタントや専門家の派遣を通じて、計画づくりや推進体制の構築などを支援し、グリーンインフラを実装していく。

 町のシンボルである武甲山や寺坂棚田などを含め、町全体で「人と自然が調和し共存するエコシステム」を目指して計画を策定し、横瀬駅を含めた「まちなかエリア」においてグリーンインフラを推進するという。

 当日はキックオフとして一般参加も呼びかけ、「グリーンインフラって何?」をテーマに講演とパネルディスカッションを行った。

 国土交通省総合政策局環境政策課課長補佐の高森真人さんは「生物多様性の観点などにおいて、グリーンインフラへの期待が高まっており、技術開発や民間支援も進めている。行政だけでは賄えないところへは民間が入り、行政・民間・団体が連携していくことが一番重要。継続するためにはグリーンインフラを導入することで、どんなメリットがあるのかを企業に提示していくなど、具体的な効果を見える化していきたい」と話す。

 京都産業大学生命科学部准教授の西田貴明さんは「グリーンインフラは『環境の話』と思われがちだが、それだけではない。地域活動や環境活動とは別の文脈で政策が進められることも多い。自然を守るだけでなく、うまく連携して活用して、地域に合わせて政策などを作っていくことが重要」と話す。「目標は1つではないのがいいところでもあり難しいところでもある。緑を増やしたら集客力が上がった事例もある」と話し、三重県いなべ市の『にぎわいの森』など、具体的な事例も紹介した。

 その他、「横瀬町の現状とこれから目指すグリーンインフラについて」をテーマに、「鎮守の森コミュニティ推進協議会」の加藤秀敏理事から神社の森を使った活動や横瀬町の生川で行った小水力発電などの取り組みについて紹介。「TIS」(東京都新宿区)の伊藤淳さんから、ITの力で森林資源の循環利用を促進することを目指す『ウッド・ドリーム・デッキ』プロジェクトについての紹介があった。

 パネルディスカッションでは、高森さん、西田さん、富田能成横瀬町長が登壇。富田町長は「横瀬町はチャレンジすること、そしてチャレンジを応援することを大切にしてきた。余白を作り、人が関わっていく余地を残すことを今後も大切にする。横瀬町は、消滅可能性自治体と言われるように、まだまだこのままではいけない町。チャレンジを続けることで、町の未来を変えて、『日本一住みよい、誇れる町』にするのが大きな目標」と話す。

 今後はグリーンインフラに関わるコアメンバーでワークショップなどを行い、具体的なアクションを検討し、進めていく。

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