提供:Rethink Creator PROJECT 制作:秩父経済新聞編集部
地元クリエイターを発掘・支援するプロジェクト「Rethink Creator PROJECT(リシンク・クリエイーター・プロジェクト)」が10月18日、秩父地場産センター(秩父市宮側町)5階研修室で開催されました。
「Rethink Creator PROJECT」とは、これからの地域に必要な「自ら考え、発信することができるクリエイター」を、「学び」「挑戦」「実践」を通して日本中に創出していくプロジェクト。クリエイターズマッチ(東京都渋谷区)が主催し、JT(東京都港区)が推進する地域社会への貢献活動「Rethink PROJECT」とコラボして運営しています。
プロジェクトのキーワードは「Rethink(リシンク)」。「Rethink=視点を変えて、物事を考える」をキーワードにこれまでにない視点や考え方を活かして、行動変容までに繋げていくことを目指しています。
プロジェクトを通じて、様々な地域の「Rethink Creator」たちがそれぞれの「地域」「文化」「暮らし」にあった発想を、自分たちの力で生み出し発信していくことで、持続可能な地域活性化の未来を実現していくことを目的としています。
2018(平成30)年の開始から5年目を迎え、2021年までに全国48地域で81回、延べ2925名が参加してきました。埼玉県内では川越に続き2回目。秩父では初の開催となります。
コロナ禍の間は、リアルとオンラインのハイブリッド形式で行ってきた同セミナーですが、今年に入り、リアルのみでの開催が復活しました。会場では、換気や来場者の検温を行い、手指の消毒、連絡先の記入およびマスクの着用を求め、新型コロナウイルス感染症の対策の中で開催されました。
感染症対策をしっかりしてイベントを開催
今回のセミナー題材は、日本三大曳山祭りの1つである「秩父夜祭」と、秩父市のオリジナル品種のブドウである「ちちぶ山ルビー」。イベントには秩父周辺地域に在住の人を中心に、16人が参加しました。
セミナーの内容は30分の講座と1時間30分のポスター制作ワークショップで構成されています。講師はアートディレクターで「アンティー・ファクトリー」代表の中川直樹さんと、秩父在住のグラフィックデザイナーで「malme.desigm」代表の吉田武志さん。吉田さんは7年前に大阪から秩父に来た移住者で、外から見ると秩父は大変に魅力があり、このイベントを通じて秩父の新しい魅力を発見できればとお話されていました。
講座では、「内側から見る」(INSIGHT=インサイト)、「属性を見る」(FILTER=フィルター)、「印象を見る」(CAPTA=カプタ)という3つの視点を理解することから始まり、それぞれ実例を交えたり、参加者に考えさせたりすることで、視点の変え方のヒントを与える内容となりました。
講師の中川直樹さんと吉田武志さん
「あの人」に伝えたい秩父の魅力。不特定多数の人に誰でも知っていることを伝えるのはイメージが湧きませんが、「誰に」「何を」伝えたいのか、特定の誰かをイメージしてみるとクリエイティブも変わっていきます。
吉田さんの友人である「学生時代からの友人で40代女性」に「秩父銘仙」を伝えたい、「B級グルメが大好きな女性の知人」に「みそポテト」を伝えたい、「歴史が好きな実家の父」に「三峯神社」を伝えたい、「インスタグラムの投稿が好きな友人」に「雲海」。特定の誰かに何を伝えるかをイメージすることが大切です。
講座の後は休憩を挟み、ワークショップを実施。秩父市内で撮影した2枚の写真のコピーを考えることで実践しました。
座学で学んだことを踏まえて、4つのグループに分かれてワークショップを行いました。今回は2テーマが用意されて、日本三大曳山祭りの1つである「秩父夜祭」と、秩父市のオリジナル品種のブドウである「ちちぶ山ルビー」について、キャッチコピーを出し合いました。リアル開催ならではの雑談も含めて真剣な議論が交わされました。
キャッチコピーを出し合うワークショップの様子
その後、各グループの代表者が発表し、講師の中川さん、吉田さんが講評しました。その結果、「秩父夜祭」のキャッチコピーは「この日、ドドンと胸アツ 真剣な酔っ払いたちのアツい夜 ホーリャイ!」に、「ちちぶ山ルビー」のキャッチコピーは「ぷちっサクッじゅわ~ ちちぶ山ルビー」に決まりました。
キャッチコピー発表の様子
グループワークを通じて完成したキャッチコピーをもとに、吉田さんがポスターデザインを写真と組み合わせて、その場でポスターを仕上げていきました。プロのデザイナーである吉田さんの技と、その過程を中川さんがコメントしていきました。
吉田武志さんがリアルタイムにポスターを制作
吉田さんのポスター制作の過程を参加者は真剣に見つめていました。同じコピーでも、縦書きか横書きか、文字フォントや大きさ、傾きなどを変えるだけでも雰囲気やメッセージ性が変わっていくのが分かりやすく、その制作過程をリアルタイムで見ながら完成していく様子に会場からは時折感心の声が上がりました。
ポスターが仕上がっていくのを見つめる参加者
完成したポスターは以下の通りです。
「秩父夜祭」をテーマに完成したポスター
「秩父夜祭」をテーマに完成したポスター。「20代後半女性、お酒・写真・温泉好き、彼氏持ち、人付き合いがあまりで非日常を求める都会派」をフィルターとしています。
「ちちぶ山ルビー」をテーマに完成したポスター
「ちちぶ山ルビー」をテーマに完成したポスター。「子どもが2人いる4人家族」をフィルターとしています。
など、参加者からは多数の声が挙がりました。
アートディレクター・中川直樹さん
秩父の人たちが秩父が好きなことが伝わりました。振り返ってみてもとても活発でした。出来上がったコピーが素晴らしくて、変にコピーライターに頼むより、地域の人が「誰かに伝えたい」と考えたものは味がありますし魅力があります。みなさん、自信をもって秩父を発信していってほしいと思います。
グラフィックデザイナー・吉田武志さん
思ったよりみなさん意欲的でした。静かになっちゃうワークショップもあるのに自由な意見がたくさん出て面白かったです。コピーとして成立しそうな案もたくさん出て素晴らしかった。参加者みんなが秩父が好きなことが伝わってきました。興味がないと案が出てこない。そういう意味では秩父は秩父の情報を発信するのが好きな人が多いのかも。違う世代の子どもたちがやったりしても面白いだろうし、続けていってほしい取り組みだと思いました。
「クリエイターズマッチ」呉京樹社長
今回のイベントではクリエイティブな人の参加が多かった印象です。地元の人が見ている景色や地元への愛の大きさによって出てくるものが違い、それぞれの地域で違う作品が出てくるのが面白いです。今日は参加者視点でも楽しませていただきました。コピーも秀逸でした。
初めて会うメンバーでも、グループワークで盛り上がっているのも印象的でした。地元が題材だから、みんなの知っていることなので、より盛り上がるのだと思います。地域の写真を題材にすることで、みんな一緒の話題で盛り上がれる。わずか2時間のワークショップで、2作品も仕上げるというのはすごいことだと思います。
Rethink Creator PROJECTを続けていきながら、日本を元気にしたい。地域のクリエイターが増えれば、地域の魅力発信が増えていきます。今年は5年目、続けられるだけ続けたい。このイベントで作った作品は地域によっては商店街に飾ったりする場合もある。地域の課題解決のきっかけになっていけたらと考えています。
「JT埼玉支社」澁谷綾香さん、相田葉菜子さん
私たちも地域と一緒になって、地域を活性化するために、地域のみなさまにご協力いただきながら活動しています。秩父の方や、秩父以外の方にもご参加いただいて、こんな短時間で、何時間も何日もかけて考えたような作品ができました。私たちも埼玉出身。埼玉県民は埼玉愛が強いと思う。引き続き、地域のみなさまと地域のことを考えながら、盛り上げていきたいと考えています。
「Rethink Creator PROJECT」では、学びを生かす場として、「Rethink Creative Contest(リシンク・クリエイティブ・コンテスト)」を開催します。今回のセミナー受講者でなくても応募でき、デザインをしたことが無い方、またクリエイターでなくても、誰でも参加可能です。
今回のイベント同様に「あなたが暮らす地域をRethink」して、その地域の魅力を今までにない切り口でアピールしたポスターを作って応募するものです。最優秀賞として賞金50万円、審査員賞として賞金5万円、優秀賞として賞金3万円、地元PR賞としてギフト券5,000円分を進呈します。応募締め切りは2022年12月9日(金)まで。詳しくは下記のウェブサイトをご覧ください。