秩父ワイン(小鹿野町)が、仏ブルゴーニュ地方で開催された「マコン国際ワインコンクール2025」で銀賞を受賞し、12月16日、小鹿野町役場を表敬訪問した。社長の島田昇さんと取締役の村田道子さんが出席し、森真太郎町長と持田孝史副町長に受賞を報告した。
表敬訪問の席では、森町長がシュール・リー製法やブドウ品種、海外での評価について質問し、島田さんや村田さんが製法の特徴や、これまでの取り組みを説明する場面もあった。
同コンクールは、1954年に始まったフランス国内の「マコン・ワインコンクール」を母体とし、2025年に初めて国際版として開催された。12カ国からワインが出品され、約245点の中から金賞22点、銀賞52点が選ばれた。日本からも20社以上が出品したが、日本ワインとして受賞したのは同社のみ。
受賞したのは白ワイン「源作印 甲州シュール・リー 2024」。「甲州品種」のブドウを使い、シュール・リー製法で仕上げたワインで、製造本数は1714本。シュール・リー製法は、フランスでは「ミュスカデ品種」で用いられてきた製法で、日本では1983(昭和58)年に甲州品種を使ったワイン造りが始まった。「フランスでなじみのある製法で造った点も、評価につながったのでは」と村田さんは話す。
同社では約15年前から、シュール・リー製法に取り組んできた。当初は思うような結果が出なかったが、試行錯誤を重ね、近年では日本ワインコンクールなどで評価を積み重ねてきた。以前から海外展開についても関心はあったものの、出品費用や書類準備、言語の壁などが課題となっていた。
転機となったのは、2月にブルゴーニュで開催された日本ワインの試飲会「サロン・デ・ヴァン・ジャポネ」への出展だった。同試飲会を通じてフランスへの輸出が決まり、海外での評価を意識するようになったという。今回のコンクール出品に向けては、9月にワインを日本から出荷し、国際輸送に必要な書類準備や発送手続きを進めた。
出品に当たっては、試飲会を主宰する岩崎元気さんの支援もあった。岩崎さんは栃木県のブドウ農園出身で、ブルゴーニュでの醸造所勤務や大学でワイン造りを学んだ。コンクール出品に必要なフランス語書類の確認など、実務面で助言をもらい、出品実現につながった。
森町長は「小鹿野町の小さなワイナリーが世界のコンクールで評価されたことを誇りに思う。現社長は5代目で、戦前から続く秩父ワインの歴史と努力の積み重ねが今回の受賞につながった。一朝一夕でかなうものではない」と話す。
島田さんと村田さんは「せっかく自社の直売所まで来てくれる人には、受賞ワインに限らず、気に入った一本を見つけてもらいたい。いろいろと試飲してみてほしい」と呼びかける。
受賞した「源作印 甲州 シュール・リー 白」(750ミリリットル)は2,750円。直売所のほか、「じばさん商店」「祭りの湯」、酒販店で販売している。直売所の営業時間は9時~17時で、無料試飲も行っている。