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秩父札所連合会がクマの関係者懇談会 専門家からクマを学ぶ

秩父札所連合会がクマの専門家 石田先生を招いて懇談会を行った

秩父札所連合会がクマの専門家 石田先生を招いて懇談会を行った

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 秩父札所連合会が11月28日、クマの目撃増加を受けて秩父地方庁舎(秩父市東町)で関係者懇談会を開いた。当日は行政担当者や登山ガイド、宿泊業者など約20人が参加した。札所連合会が運営する出没情報マップ「くまっぷ」の閲覧が昨年より94倍に増えていることも会の冒頭で紹介し、クマへの関心が高まっている現状を共有した。

当日は行政担当者や登山ガイド、宿泊業者など約20人が参加した。

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 講師は全国各地でクマの調査に携わってきた元東京大学大学院農学生命科学研究科准教授の石田健さんが務めた。秩父地域に生息しているツキノワグマは基本的に臆病で、人を積極的に襲う性質ではないという。「一番平和なクマの種類」とされる一方、「個体差が大きく、『こうすれば必ず安全』という行動が存在するわけではない」とも話した。

 今年は全国的にクマが活発に活動していることから、餌不足や空き家・やぶの放置など複数の要因が重なると人里へ下りやすくなるという。クマは雑食性で、人の生活圏に出てきて「良いこと」があると学習し、再び立ち寄るようになるため、石田さんは「なるべくクマにとってメリットのない環境を保つことが大切。行政だけで全てに対応することは難しく、地域での情報共有や日常的な声がけも重要」と石田さんは話す。住民が自分事として取り組む姿勢が求められるとした。

 質疑応答では、クマとの距離の取り方や見間違いの多さ、GPSによる管理の現実性などが話題に上った。石田さんは「アライグマ、カモシカ、サル、黒猫などの見間違いも多い」「クマの肉球は柔らかく、近くにいても足音はほぼ聞こえない」「母グマが子グマを守るなど人がけがをする例外はあるが、ほとんどの場合はクマの方が人の気配に先に気付いて逃げる」などと話した。

 秩父札所連合の柴原幸保会長は「参加して勉強になった。巡礼路は普段から人の通行があるため、クマからも人のいる場所として認識されやすいという説明があり、巡礼者や私たちには少し安心材料となった」と振り返る。

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