チェロ奏者の原島教道さんによるワークショップコンサート「みて!きいて!さわって!チェロを感じる!子どもから大人まで!みんなで一緒に楽しもう~」が10月25日、横瀬町の「NAZELAB(ナゼラボ)」(横瀬町横瀬)で行われた。
今回の開催は、原島さんが母親の友人宅で開いたホームコンサートがきっかけになったという。横瀬町集落支援員の佐々木均さんから、「このような会を『NAZELAB』でもやってみては」と提案があり、実現につながった。
原島さんは小鹿野町出身で10歳のときにピアノを始め、私立文系大学への進学をきっかけにチェロを弾くようになった。中学時代は「三田川のベートーベン」と自称し、音楽家になることをひそかに夢見ていたという。その後は社会人として音楽業界の厳しさを知り、教員、スポーツジムスタッフ、工場作業員などさまざまな職を経験しながら、チェロを弾き続けて今年で14年目となる。
10年目を過ぎた頃からはプロのミュージシャンと共演する機会が増え、現在はオーケストラ、室内楽、アーティストのミュージックビデオ出演、保育園での演奏など幅広く活動している。作曲家、編曲家として楽曲アレンジの提供や、百人一首をテーマにした作曲活動も行っている。
当日のプログラムは「チェロ奏者ルーチン」「チェロって一体どんな楽器? 楽器について知ろう」「弦楽器は音を自由自在に操れる?!」「『音楽』を作っているのは楽器だけじゃない?! ホールについてのヒミツ」「『弓で弾く」だけじゃない?! チェロってこんなこともできちゃうんだよ」「実際にチェロに触ってみよう 楽器体験コーナー」「みんなで歌おう」で構成。各テーマに沿ってチェロの有名なクラシック曲から、ジャズ風の曲や日本の唱歌まで演奏。アンコール曲は原島さん自身が作曲した「おもいで」を披露した。
原島さんは会場の中央から隅へ移動して演奏する位置を変えたり、後ろを向いて演奏したりしながら、「どんな風に聞こえたか」を観客に問いかけ、音の聞こえ方がどう変わるかを実演した。演奏者の弾く位置や観客の座席の位置によって音の聞こえ方が変わることを伝え、「大きな会場などコンサートに行った際は、ホールそのものも音楽体験の一部として味わってほしい」と話した。そのほか、ピアノではドとレの音がはっきりと分かれて聞こえるのにチェロは明確な区切りがなく、音と音を滑らかにつなげて弾くことができる楽器だと説明した。
楽器体験コーナーでは、数人の参加者がチェロの演奏に挑戦した。都内から参加した11歳の男児は「聞いているより(体に)音がすごく伝わってくる」、同町在住9歳の男児は「音が意外と大きかった。振動がすごい」、秩父歌舞伎の三味線を弾いているという70代女性は「チェロに興味があった。音がこもって出てくるのが面白い。高さが随分あるものなんだと感じた」と、それぞれ話していた。
原島さんは「これからは秩父地域で少人数のホームコンサートや、今回のようにワークショップ形式で参加者とコミュニケーションを取りながら、チェロや音楽をもっと身近に感じてもらえる場所で演奏したい。チェロを始めたいと考えている人向けにレッスンができたらいいなとも考えている」と話す。
今後、「ろっく横瀬まつり」での演奏(11月15日)、ワークショップコンサート(12月6日)を同所で予定している。