
秩父の「ちちぶ花見の里」(秩父市荒川上田野)で3月25日、秩父から静岡県浜松市にかけてドローン航路の開通式が行われた。秩父市と浜松市で同時に式典が開催され、中継で両会場をつないだ。あらかじめ空のルートを整備し、社会実装に向けて運用を始める取り組みとしては、世界でも先行的な事例となる。
同取り組みは、国が進める「デジタルライフライン」の全国整備の一環として行われている。秩父地域では送電線の上空に全長150キロのドローン航路を整備。送電設備の巡視や点検に活用される。併せて、浜松地域でも180キロの航路を設け、合わせて330キロの空の道が開通した。将来的には全国各地でこうした航路を網目状に展開し、災害対応や物流など幅広い分野での活用が見込まれている。
秩父市では2018(平成30)年からドローンを活用した地域課題の解決に取り組んできた。2022年9月に中津川地区で発生した土砂災害を契機に、ドローンや衛星通信を使った支援体制づくりを加速。実証実験にとどまらず、災害時を見据えた社会実装に向けて、官民連携による体制づくりを進めている。
当日は、事業説明やドローンデモフライトに加え、関係者によるテープカットも行った。今後は整備された航路を使うことで、これまでヘリコプターや作業員が山に登って行っていた送電線の点検作業をドローンが行うことで、効率化や安全性の向上が期待される。飛行ルートが明確になることで、申請や運用のコストも軽減されるという。飛行時間を延ばすためドローンに搭載するバッテリーや鮮明な映像撮影のためのカメラの性能の向上、安定した通信環境の確保などが今後の課題だという。
ドローン航路の運営を担う「グリッドスカイウェイ」(東京都港区)代表の足立浩一さんは「まずは送電設備の点検のための航路としての運用になるが、ゆくゆくは物流などにも展開を見込んでいる。今までの作業がドローンで可能になれば効率化が図れる。若い人たちにとっては、近未来的な魅力のある職場にもなっていくのでは」と話す。