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秩父・寺内織物で「銘仙・四季ごよみ展」 銘仙で日本の四季表現

古民家de銘仙プロジェクト「銘仙・四季ごよみ展」が寺内織物母屋で開催

古民家de銘仙プロジェクト「銘仙・四季ごよみ展」が寺内織物母屋で開催

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 秩父で銘仙着物を展示する「古民家de銘仙プロジェクト」の第3弾「銘仙・四季ごよみ展」が2月22日、「寺内織物母屋」(秩父市道生町)で始まった。

春夏秋冬の四季を銘仙着物で表現している

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 秩父市産業観光部産業支援課・地域おこし協力隊銘仙担当篠原順一さんが企画した同展。市内にある古民家を会場として秩父銘仙の魅力を発信する試み。今回は1914(大正3)年創業の寺内織物の母屋を会場に、春夏秋冬の四季の移り変わりを銘仙の着物を飾って表現する。

 展示する着物は秩父銘仙の他、伊勢崎や足利、産地不明のものなど約80点。1点だけ「ちちぶ銘仙館」から借りた着物だが、それ以外は篠原さんが個人で所有するもので、夏用銘仙も含まれる。篠原さんは「前回は『深いろ銘仙キモノ展』で渋めの着物が多かったので、今回は華やかに飾った」と話す。

   以前はファッションデザイナーだった篠原さんが前職を辞め、同協力隊として移住してから1年4カ月がたつ。江戸時代初期・安土桃山時代の染色品に興味があり、ちちぶ銘仙館で働くうちに銘仙の展示が少ないことに気付き、何度も銘仙館に来てもらえるようにとギャラリーでの展示を始めたという。

 今回の展示では会場が4部屋あることから、源氏物語に登場する六条院の四季の構成を参考に構成した。篠原さんは「日本人は衣食住に季節を取り入れて、季節を大切にして過ごしてきた。源氏物語の内容を絡めて展示をして、日本情緒を大切にする文化を銘仙と一緒に楽しんでもらえたら」と話す。

 同会場は大正時代、関東大震災以前に竣工した建物で、外観だけでなく建具なども当時の物が残されているが、借地であるため将来的には更地になる可能性もあるという。寺内織物の寺内秀夫さんは「長く祖父が建てた家を努力しながら守っているが、どういう風に残したら良いのかをずっと考えている。多くの人に利用してもらえたらと思っていたところ、篠原さんから提案いただいた。銘仙に関するイベントなので、先祖も喜んでいるのでは」と話す。

 篠原さんは「寺内織物の母屋の中は普段訪れる機会も少ない場所。近所にすむ道生町の人たちも『初めて建物の中に入った』と銘仙を鑑賞しては、ご近所話をして帰っていく。交流場所を提供できて良かった。銘仙の魅力だけではなく、秩父に残る歴史的建造物の価値を再認識する場にもつながれば」と話す。

 同イベントと同時開催で「秩父キモノと吊(つ)るし飾りを巡る街なか歩き」として「ちちぶ銘仙館」(熊木町)と「ふじや衣裳」(中町)で、吊るし飾りや婚礼衣装の展示も行う。「秩父銘仙を市内3カ所で同時に楽しめるイベントなので、銘仙や着物好きな人は会場巡りも楽しんでほしい」と来場を呼びかける。

 開館時間と料金は、寺内織物母屋=11時~18時(入場無料)、ちちぶ銘仙館=9時~16時(大人=210円、中小学生=100円)、ふじや衣裳=9時30分~18時(入場無料)。いずれも3月3日まで。

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